第447話 曲がり角


 爆発で暗闇に覆われていた地下を吹き飛ばした。すると、そこにはこの機械が通ってきた道だろうか、人がちょうど一人通れそうな幅の通路のようなものがあった。


 まあ、通路と呼ぶには整備されておらず、ゴツゴツしており、あまりにも無骨すぎるのだが。


 俺はある種の確信を抱きながらその道ではない道を進んで行った。この先に俺が求めるパーツがあると信じて。


 だが、一向にそれらしき物が見つかる気配は無かった。機械が至る所に使われている、近未来社会みたいな世界が広がっていると思っていたのに、進めど進めどそこはただの岩だった。


 しかも、せっかく風通しを良くしたのにも関わらず通路は真っ暗闇で、結局、暗視と夜見を発動することになってしまった。


 もう、諦めて街にでも帰ろうとした時、俺の視界に一つの大きな光が差し込んできた。


 いや、差し込んできた、というのは些か誇大表現すぎるな。暗視と夜見を発動しているからそう見えるだけであって、実際は微かに明るくなっただけのようだ。


 まあ、それでも俺にとって希望が生まれたことには間違いはない。ここからは本気で行く。


「【韋駄天走】!!」


 ただの直線を走るだけなんて、俺からしたら朝飯どころか、前日の夜飯すらいらねー、


「あっ」


 ドガーーン


 まさかの曲がり角があった。流石に夜ご飯は食べた方がいいらしい。壁に俺の人形をとってしまった。


 おいおい、聞いていないぞ曲がり角なんて、と思ったが戻って見てみると、確かに曲がった先から光が溢れている。くそ、だがこれで目的地は目と鼻の先だ!


 ドガーーン!


 あれ? 俺って朝飯も食わないとダメなんですかね? 二度もミスるなんてな。まあ、簡単に到着するよりかは、一難も二難もあった方が達成感あるからな。だが、三度目の正直だ、これからはノーミスでいくっ!


「【韋駄天ばし


 ドガーーン!!


 いや、まだスキルの発動途中なんですけど!?


 俺はどうやら、昼食も必要らしい。


 って、そういうことじゃなくてだ。明らかにおかしいだろこれ。俺がドジとか朝飯抜き昼飯抜きとかそういう次元じゃない。明らかに何かある。


 俺だってぶつかりたくてぶつかってるわけじゃないんだぞ? だが、曲がり角を認知する前に壁に激突しているし、戻ってみると確かに曲がり角が存在している。


「あ、そういうことか!」


 俺が先走って走るのがいけないんだな。ゆっくり歩いて行けば曲がり角があれば普通に気付くはずだから、今度こそ大丈夫だな!!



❇︎


「……」


 いや、曲がり角どころか目的地すらないんですけど。

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