第445話 各国の反応


U.K.

『ふふっ、ようやく訪れたのですね、この機会が、私達の存在を証明するこの時が』


『しっかし、んなこと言ったって国別だろう? 俺たちだけ頑張っても意味ねーだろ?』


『もちろんそうですよ。私達だけで無理なら他人の力を借りればいいだけですよ。たまには帽子の置き場所としてだけではなく、考えることにも使って下さい、その頭を』


『うっせー、そもそも帽子を被らんわ!』


❇︎


『皆さん、この場にお集まり頂きありがとうございます! とうとう国別対抗イベントが始まりました。しかし、私達は開催国のジャパンよりサービス開始が遅れています。ですから全体的にどう頑張ってもレベル的に負けているだろう、というのが皆さんの見解でしょう。

 ですが安心して下さい、この短い期間で皆さんは驚異的なスピードで成長しております。明確な目標がある我らに比べ、ただ遊んでいるだけのジャパンに引けを取るはずはありません!

 そして更に、このイベントで国全体が一丸となることで、ジャパンはおろか、全世界に対して有利になることができるのです!

 皆さん、今こそ真のイギリス人を呼び起こす時です! 日の沈まないイギリス、世界の覇者としてのU.K.をここに顕現させましょう!!』


 一人の青年の熱い演説は広場で行われ、何千人もの観客がそこにはいた。しかも、その様子は生中継でイギリス全土のプレイヤーの元に届けられる。


 人を惹きつける才に恵まれた彼は、瞬く間に人々の心を掌握し、イベント攻略に乗り出した。



[参戦!]

本拠地:U.K.

クラン:クルセイダーズ

プレイヤー:アレクサンダー 



ーーーーーーーー

Germany


『ふっ、とうとう来たか。誇り高き我らドイツ国民の尊厳を賭けた戦いが始まる。決して負けるわけには行かぬ!』


『いや、別にそんな大したもんでもないだろ? 何勝手に国背負ってんだよ、別にこのゲームしてないドイツ人沢山いるだろ。それにこのイベントで負けたらドイツ人としての尊厳が失われるのかよ。んなわけねーだろ』


『なぬっ、なんと弱気な発言、さてはお主負けるのが怖いのじゃな? ふっ、安心せい。この私がついておる限り敗北の四文字は存在しない!』


『いや、二文字だろ。ってかお前がいるから心配なんだけどな、まあいいよ兎に角頑張れ』


『なっ! 其方も私一緒に頑張るのじゃよ? 私の右腕としての活躍、期待しておる』


『右腕とか言って結局俺に全部押し付けんだろ? そして美味しい所はお前が持っていく、いつものパターンじゃねーか。まあ、いいけどよ、昔からそうだったしな。期待してるぞ?』


『お、おう、や、や、やっぱり改めて言われると、その、あー、嬉しいな』


『いや、やっぱ取り消すわ。お前には一切期待はしてない。ごめん夢を抱いた俺が馬鹿だった』


『え!!??』


❇︎


『全クラン組員に告ぐ、我らの誇りと尊厳をかけて、このイベントで全力で勝利をもぎ取るぞ! その為に、ノルマを設ける。一人まずは五百だ、そして五百を超えた者の中から上位のものには、昇格と褒美をやる。心してかかれぃ!』


[参戦!]

本拠地:ドイツ

クラン:ベルセルク

プレイヤー:ヴォルフガング





ーーーーーーー

Korea


 俺はキム・チョンヨン、プレイヤー名はキムチだ。みんなから小さい頃、このあだ名でからかわれてたんだが、今となっては気に入ってる。


 今は日本のゲームに韓国の国民が熱狂的なブームになっている。結構昔は日本と韓国って仲悪かったらしいけど、今ではそんなこと一切ない。最初はお互いの音楽の輸出入くらいだったが、徐々に文化が浸透し合ってきた。


 それに、お互いがお互いのコンテンツのファンになることで自然とその隔たりが薄れていった感じはある。まあ、子供で普通に日本が好きって人もいるし、そういう人が増えて大人になれば自然と壁は薄くなるよね。日本もそうだったみたいだ。


 まあ、今でも老害と呼ばれる老人達や、両親の熱烈な教育により反日と呼ばれる人達は存在しているものの、少数派だし、絶滅危惧種だ。


 そんな中、日本の素晴らしいゲームが海外展開するとなればハマらないわけがない。反日とか言ってても、良いもんは良いんだから、これを享受できないのはシンプルにもったいないよな。


 韓国は労働時間が長いことで有名なんだ。これは別に褒められたことじゃないんだけど、それだけ根は真面目ってことなんだ。


 だから、皆が同じ方向を向いた時の爆発力は凄いとおもう。



 よし、じゃあ頑張りますか!


[参戦!]

本拠地:大韓民国

クラン:???

プレイヤー:キムチ


ーーーーーーー

China


『全党員に告ぐ、如何なる手段をもってしてでも、卵を狩り尽くせ。以上』



[参戦!]

本拠地:中国

クラン:???

プレイヤー:???



ーーーーーーー

U.S.A.


『へぇー、やっぱ抜け道ってあるんだな』


『おーい、どうしたー! 早く降りてこいよー! 何があったんだー?』


 下でコビーの奴が騒いでやがるな。だけどこれを教えたらもっと騒ぎ立てるんだろうな。まあ、ビッグニュースだから無理もねーか。


 そうして俺は腕に大量のある物を抱えて地面に飛び降りた。


 ドサッ


『うわっ! ビックリした、ってえ、え!? えーーーーー!!??』


 案の定、俺がコビーの前に姿を現すと白目を剥くんじゃないかという勢いで仰天した。


『ふっふっふー、やはり俺様の読みは間違ってなかったようだな! これだけ探した甲斐があったぜ!』


『凄いよ、マイケル! 途中まで疑ってたけど流石だよ! やっぱりマイケルはかっいいね!』


『そうだろ? それと、ここでは俺のことはマルコシアス様と呼べ。本当の姿がバレてしまうだろ? これから気をつけるように』


『ははー、マルコシアス様ー!』


 この勝負、もらったな。


『この俺様に勝てると思うなよ!』


 俺は木の上に登り、天に向かって高らかに叫んだ。


「Hey, Japan, world……Bring it on!!!」

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