第434話 総力戦


 このイベントは初の国単位でのイベントらしいが、あまりやる気にはなれなかった。なんせ、金の卵を追え、とあるように、対象モンスターが金の卵なのだ、それも足が生えており自立歩行型の。


 それを一生懸命追うのもどうかと思うし、俺のやりたいことではないからな。どうせ他のプレイヤーが頑張るだろうから、いつも通りプレイをして、報酬を貰えたらラッキーくらいに思っておこう。


 それにしても、運営はなんともシュールなイベントを用意したもんだな。なんだよ金の卵って、もっといいのは無かったのか? もっと集めたくなるようなものにしてくれよな、そうじゃなきゃ俺みたいな奴らが沢山出てきてもおかしくないぞ?


 だが、報酬が貰える条件が厳しい分、かなり破格だからな。意外とみんな頑張るのか? まあ俺はしない、ただそれだけだ。


 ……でも、少し気になるな。どんな見た目なのか想像はつくが実際どんなのか気になるし。仮にもし見かけたら、一体くらいは倒してもいいかな?


 とりあえず今日はキリンも無事倒せたし、終わろう。


 ❇︎


「あ!」


 再びログインすると、フィールドの至る所で金の卵を見かけるようになった。意外としっかり金で、なんか重厚感がある。しかし、かなり足が速いようで、とてもじゃないが普通に歩くだけじゃ追いつけない。これが金の卵を追え、ということなのだろう。


 しかもこの金の卵、性格がひん曲がってるのか追ってくる相手によって逃げるスピードを変えてくるのだ。そのため、いけそうと思った所でギアを上げ、プレイヤーに絶望を与えてくる。俺も一度気紛れに追いかけてみたものの、それをされた。


 しかし、まあ俺もそんなことをされて黙っているわけがない。その瞬間、韋駄天走りを発動し、逃げる金の卵をひっ捕らえた。ふふ、俺に喧嘩を売るとはいい度胸だ。そっちがその気なら俺だってそれ相応の手を取らせてもらう。


「全員集合!」


 俺は俺らの従魔達を呼び寄せた。最近出番が多い気がするが気にしない。


『お前ら! この世界に俺に喧嘩を売ってきた奴らが沢山いる! 金の卵の姿をしている奴だ! 売られた喧嘩はしっかりと買うのが俺のポリシーだ。という訳でお前ら、一番多く狩った者に褒美を与える!』



 俺に喧嘩を売ったこと、必ず後悔させてやる。


『お前ら、狩の時間だ。散開!』



 金の卵、お前ら一人残らず、駆逐してやるっ!



❇︎


『ん、アイスどうしたのか?』


『んー、あいすねー、ごちゅじんさまといきたーい』


 おぉ、なんて可愛い従魔なのだろうか。流石は可愛さ担当だな。今日も相変わらず可愛いすぎるぞ。


 よし、俺はアイスと一緒に狩りをしよう。まあ、とはいっても、サポートをするだけだがな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る