第423話 優秀な配下


 やっべー、厭離穢土使っちまったよ全く。急に現れたから反射的に使ってしまったぞ、これからどうしてくれるんだよ。


 瞬時に対象を滅ぼせる技が有ればいいんだが、似たようなスキルの生者必滅は少し時間がかかるからなー。こうなったら新規勢の触手に頑張ってもらうか。常に粘性を付与した盾を四方位に展開し、更には一本、斬性と鋼性を付与したなんちゃって剣もどきみたいなものを展開しておく。


 これは別に怖がっているわけではない。ただ、身の安全を最大限確保しているだけだ。本当に怖がってはいない、断じて違う。


 それにしてもなんでよりによってこんなダンジョンなんだろうか。獣とか出てくるダンジョンだったら、吸血とか、斬、鋼、とかの触手の特性を色々試せたのにな。こんなとこだとまともに試せないじゃないか。


 ん? 怖がってるだけだろって? だから違うって言ってるだろ。本当に違うのだ、俺は本当に試したかっただけなのだ。


「……」


 よし、もうこの話題について考えるのはやめよう。なんか虚しくなってくるだけだしな。


 それにしてもアスカトル、スカルボーンが先行してくれているが、かなりこのダンジョンは長いようだ。下にも続いているだろうし、もちろん横にも長く続いている。これは、かなり厄介だな。道幅は狭いのに、長いだなんて、窮屈だろ。


「お、」


 コツコツと歩いていると、階段を発見した。なんだかんだ、初階段だな。これから先何個あるかは分からないがとりあえずは前に進めている感じがしてとても宜しい。


 気分は少し上向きになり、それと同時にさっさと攻略してしまとうという気持ちでほぼ無意識に階段を降りていた。そして、最後尾の俺が次の階に降り立った時、



 カチッ、プシューーーー



「なっ!?」


 俺らの視界が一気に奪われた。どうやら煙幕のようだ。しかも、色が紫色だから恐らく毒ガスだろう。俺は大丈夫だが……


『スカルボーン、アスカトル! 大丈夫か!?』


 従魔の方が心配だった。俺みたいに毒無効を持っているわけじゃないからな。配下に気を配るのも主君の役目ってことだ。


『大丈夫です』

『大丈夫でございます』


 しかし、俺の心配とは裏腹に二人とも大丈夫だったようだ。スカルボーンは生き物じゃないから毒がそもそも効かない。アスカトルは自分の毒の方がまだ強いとのこと。


 あれ? ウチの配下優秀?


『ご主人様、デト様を呼んでみるのはいかがでしょう?』


 おー、確かにこの状況ならデトックスを呼ぶのはアリかもな。あいつも喜びそうだ。


「デトックス!!」


『はい、ただいま』


『ここに、毒ガスが充満してるのだが、なんとかなるか?』


『な、なんと!? それは誠ですか? う、嬉しいカメ!』


 あ、素が出た。まあ、それだけ嬉しいってことだろう。


 これからどうするのかと見ていると、デトックスは、口から空気を吸い、鼻から息を吐いた。鼻から出る空気は透明だった。


 あれ? デトックスが空気を清浄してる?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る