第422話 屁理屈


「アスカトル、スカル、ボーン!」


 ダンジョン内はそこまで広くもないため、人間に近い姿の二人を呼び出した。アイスでも良かったが、流石に幼子に守ってもらうのは気が引けるし、ハーゲンとアシュラは大きすぎる。ペレは溶岩がないし、もし、壁とか溶かしてしまったらと思おうと出せなかった。


 それにしてもこのダンジョンはどんなコンセプトなんだろうか。普通、各ダンジョンによって様々なコンセプトがあるはずだ。しかし、ここのダンジョンはいささか不気味だ。仮にお化け屋敷、とかそれに準ずるものだった場合、絶対にここのダンジョンマスターは許さない。


 それにしても流石ダンジョンというべきか、敵が多いな。次から次へと敵が湧いてくる。それをアスカトルは糸を速射し、モンスタを手繰り寄せて鎌で一撃。なかなかかっこいいし、対応も早くてかっこいい。


 ボーンとスカルは……普通に殴っているだけだな。全く誰に似たんだか。


 まあ、そんなこんなで順調に進んでいたのだが、進んでいると程なく、事件が発生した。先頭はボーンとスカルだったのだが、どうやらモンスターハウスに入ってしまったようなのだ。自動的に俺らもそこに入ることとなり……


 地獄をみた。


 先ずやばかったのはその量だ。ダンジョン内の比じゃないほどの量が、一度にそして継続的に湧いてきたのだ。しかも、そのほとんどが悪魔とか幽霊とかゾンビとかいわゆる闇属性系だった。


 その中でも配下達は頑張ってくれたのだ。特にスカルとボーンは二位一体を使って戦ってくれたのだが、それがまたビックリしたのだ。


 なんせ初めて見たもんだから、その風貌に驚いたのだ。片方が剣になり、片方がそれを振り回して戦っているのだ。なんか思っていたのとは違うが、こんな感じもできるということなのだろう。


 俺は、怖いものは苦手じゃない。いや、怖いものというか、そのモンスターとかに怯えることはない。ただ、驚かされるのだけが気にくわないだけだ。だからお化け屋敷も好きじゃない。


 だから、このモンスターハウスも別に入ってしまえばなんの問題もなかった。強いて言うなら最初だけだな。しかし、すべてのモンスターを倒し終わった時にさらなる事件が起きた。


 プシューーー!


「うわぃっ!」


 どこからともなく煙が噴射し、視界が悪くなった。そして、目の前にはゾンビと悪魔を足してニで割ったような見た目の少し大きめのモンスターがいた。


「うぉっ、【厭離穢土】」


 ふぅ、なんでそんな驚かそうとするんだ? 正々堂々戦えよ、って話だ。なんで一々驚かしたり奇襲をかけたりすんだよ、本当に納得がいかない。


 それは強くなることを拒否してしまっていないか?


 ダンジョンマスターさんよ、本当にそれでいいのか?

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