第416話 登録
ぼ、冒険者ギルドって金貸しまでしてんのか? そんな、意外とリーズナブルな価格で、しっかりと元取ろうとしてるのも笑えない。
しかも、俺登録からしなきゃとかどういうことだよ。まあ、冒険者ギルドに関しては初心者だなら仕方がないけどさ、うーん、まあ仕方がないよな。やるしかない。
それにここまで来てやっぱやめますなんて言えない。
なんかプレートを渡されて、奥に行けと言われた。もういよいよだな、ここまで来たら最後まで行くしかない。乗りかかった船っていう奴だな、使い方については知らないが。
指示された方向に進んでいくと、開けた場所に繋がっていた。
「おー、お前が冒険者志願者か! この時期珍しいと思っていたが、まさか男でまだなっていないなんて珍しいな? 俺は今回お前の面倒を見る教官だ。よろしくな!」
そこには気さくな感じのナイスガイが立っていた。とてもフレンドリーですぐに心を開いてしまうような、そんな人物だ。
「はい、よろしくお願いします!」
「それにしても立派な装備だよな。本当に初心者か?」
初心者って何をもって初心者なんだ? もちろん戦闘経験はたんまりあるが、冒険者ギルドでは初心者だからな。
「はぁ、まあ一応、初心者です。戦闘経験くらいならありますが……」
「そ、そうかなんか煮え切らない感じだな。まあ人には色んな事情があるもんな。そんなこと関係無しに実力でのし上がれるとこが冒険者の良いところだからな、これから頑張って行こうな!」
うっ、良いこと言うじゃねーか。流石教官と言った所か、新入生に聞かせてあげたい。
……いや、事実聞かせてんのか。俺が転入してきただけだからな。
「この初心者育成プログラムは大体一週間を通して行われる。まあ、到達度によって前後はするがだいたいそのくらいだと思っててくれ。よし、じゃあ初めにお前の今の実力を見せてくれ! そうだな、まずはこの藁人形をお前の剣で斬ってみてくれ」
「はい!」
なんか良いな、ワクワクするな。こういうことをして来なかったから、余計に楽しい。そりゃこれをゲーム始めたてにした時にはその感動たるや、計り知れないだろう。運営も良い仕事をしやがるぜ全く。
だが、これを無料じゃない所に少し本性が見える気がするけどな。どうせ、紹介料とかその他もろもろで元取れるだろ。こういう所でケチっちゃダメだよな。
「おーい、どうした、斬って良いぞー? 大丈夫かー?」
おっと、少し離れていたナイスガイ教官に心配されてしまったぜ。今の所、初心者のくせに戦闘経験と立派な装備だけある怪しい奴だからな。この最初の実力診断で安心させないとな。
「すみません、大丈夫です! では今から行きます!」
安心させる為にはちゃんとやらないとな。しっかりやろう。
「【不動之刀】」
俺はしっかりと時間を使って、刀を抜いた。
スン
その一撃に音は無く、またそれを見ている者ですら、音を生むことはできなかった。
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