第417話 スン


 スン


「「……」」


 どうしよう、教官の人が口を開けたままフリーズしてしまった。え、そんなに酷かったか? 俺的にはかなり良いというか、ここ最近でもかなりの出来だと思ったんだが……


「あ、あのーー」


「はっ、すまんすまん! いや、余りにもその太刀筋が綺麗でな、見惚れてたというか呆然としてたというか、とりあえず分かった。剣技についてはこれくらいでいいだろう。まあ、戦闘経験はあると言ってたからな。次は魔法だな。あそこの的に向かって自分の好きな魔法を撃ってみてくれ」


 魔法かー、俺魔法ってなると意外と持ってる数は少ないんだよな。それこそ爆虐魔法とかくらいしかないからな、それでいいのか? まあ、好きなのって言ってたからそれでいいか。


「【爆虐魔法】、ボム」


 さっき、ちゃんとやろうと思ったら思いの外フリーズさせちゃったから、今度は軽めにいく。爆虐魔法って聞いて心配されるのも嫌だからな。


 ッダンッ!!


「は?」



 ……どうしよう、的が粉々に砕けてしまった。それにあの気さくで絡みやすそうな教官からも、は? って言われたし、もうお終いかもしれない。このまま帰れと言われるかもしれない。


 もしそうなったら普通に自分で聞いてダンジョンに乗り込もう。


「あ、あのー」


「はっ、すまんすまん! いや、余りにもその魔法が強力でな、見惚れてたというか呆然としてたというか、とりあえず分かった」


 いやさっきもそうだったが、分かったってなんだよ分かったって、俺は何も分からないんだが? 何か言えよ。


「そ、そのこれからどうすればいいのでしょうか?」


「お、おうそうだな。ってかお前初心者じゃないだろどう考えても、どうせ他のギルドに入ってるんだろ? なぜここに来た?」


「いや、冒険者用ギルドカードしか使えないって言われたので……」


「は? この強さで冒険者用を持ってないのか? お前一体どこのギルドなんだ?」


 え、そんな言われる? これは正直に言っていいものだろうか。でも他のギルドなんて知らないしな、もういいか言っちゃえ、どうせ死にはしないだろ。


「あ、暗殺ギルドです」


「は、はぁ? 暗殺ギルドぉ!? お、お前、あの暗殺ギルドなのか? 暗殺ギルドって本当に存在してたのか……」


 なにやら頭を抱え出したぞ? そんなにやばいのか暗殺ギルドってのは。


「あ、あのな暗殺ギルドってのは存在をまことしやかに噂されてるようなもんだぞ? 一般にはその情報は出回ってないし、俺だって先輩から飲みの席でたまたま聞いたくらいだぞ? それも冗談だと思って軽く流してたくらいなんだが、まさかその本人が現れるとは……」


 まじか、確かにそんな話を聞いたような聞いて無いような……


「それより、なんでそんな奴がこんな所に来たんだ?」

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