第406話 忘れられし者②


 おっと、ここで忘れてた従魔がいたな。


「クモちゃん!!」


 俺の呼びかけに応じて現れたのはその名の通り蜘蛛だ。いつだったか、俺が森に行ってその時に服従した配下だな。この蜘蛛にも森にいるよう言ってたから、ここ最近はつまらない蜘蛛生をおくらせてしまっているかもしれない。


『なぁ、望みとかあるか?』


 そうだ、こいつにも名前をつけてあげないとだな。


『私は、ご主人様のような姿になりたいです』


 ほう、つまり、二足歩行がしたいというわけか。なぜ、それを願うようになったのだろうか。別に特段俺と一緒にいる時間が長かったわけでもないからな。俺に憧れているとは考えづらいし……


 まあ、いいかさっさと名前を考えてあげよう。


「お前の名前は、、アスカトルだ! 【強制進化】!」


 名前の由来は……適当だ。強制進化にはラヴァマン同様骨を使った。しかし、アスカトルは体が大きいため、少し多めにしておいた。それに、進化の際にちゃんと人型になるようにイメージしておいた。


 そして、光の中から現れたその姿は……


「従魔:グレイテストスパイダー、個体名:アスカトルがダークアポストルスパイダーマンに進化しました」



 男だった。いや、青年と言った方がいいだろうか。


 俺の予想では、人型の蜘蛛と言えばアラクネしかおらず、それは女性とばかり思っていた。しかし、ちゃんとイケメンの兄ちゃんが現れた。悔しながら普通にカッコいいのだ。ペレとはまた違ったカッコ良さなんだよな、どちらも男からも女からも好かれそうだ。


『よし、これからもよろしくなアスカトル!』


『ありがとうございます……これからもよろしくお願いします。キシャ』


 うぉ、最後の最後で個性爆発したな。蜘蛛らしさはわざわざ出さなくてもいいんだが、まあしたいのならさせてあげよう。


 それにしても種族名がスパイダーマンって……いや、俺の配下のことは何もいうまい。ただ、少し早めに進化させてあげよう。このままではいつか不都合が生じるかも分からないからな。


「ん?」


 そういえば疑問なんだが、ペレとアスカトルはどっちの方が強いんだ? 元々の状態から考えたらアスカトルだろうが、見た目はどちらも男だし、種族も両方ダークアポストルになってしまった。


 これから他の配下も進化させていくが、序列はどうしようか。直接戦わせるわけにはいかないからな、俺の偏見とかでも嫌だし、んー、とりあえずは年功序列でいいか。俺の従魔になった順で進めていこう。


 それに、本人達はそんなに気にしてない可能性の方があるからな。


 よし、じゃあ次はあいつだな。

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