第393話 次の目的


 は? ぼったくり? どういうことだよそれは、こんなの完全にネタスキルだろ。俺が作った奴らの方がまだ役に立ちそうな顔はしてるぞ?


 それによ、悪魔の心臓っていったら、前回ゲットしたのが強制進化だぞ? しかもそれは準男爵だったはずだ。なんで位が上の奴から下の奴よりも使えなさそうなのが出てくるんだよ。


 しかも全然当たりじゃねーじゃねーかよ。俺は当たりが確定しているガチャだと思っていたのに、こんなハズレが出てくるとはな。全く清々しいくらいに裏切られたな。流石、悪魔と言ったところか、死んでもなお妨害してくるとは。あ、因みに言っておくが、俺は全く清々しくないぞ? あくまで表現の一つで言葉の綾というものだ。


 まあ、手に入れてしまったものは仕方がない。取り敢えず効果を見てみよう。


【ぼったくり】‥相手と数字のやり取りをする際に、より多く受け取ったり、少なく払ったりすることができる。また、効果は相手と自分との戦闘力の差が離れていればいるほど大きくなる。


 いや、ただの脅しじゃねーかよ。戦闘力の差で効果が決まるって完全にヤクザだろ。悪魔的すぎんなこのスキル。これであのデブラリ野郎が金儲けしていたと考えると今回倒しておいて良かった気もする。これ以上善良な市民に被害が及ぶのを防げたのだからな。


 そうでも思わないと正直やってられない。強くてかっこいいスキルを期待していたのに、弱くてダサいスキルを手に入れたんだからな。どうにか良いように捉えないと俺の努力が泡沫の如く消えていってしまう。


 よし、こうなったら……!


「爺さん、俺にもっと強い悪魔を紹介してくれ! 俺、こんなクソみたいな悪魔達に苦しめられている人達が可哀想になってきたんだ、だからこうしちゃいられない、まだまだいるんだろう? 苦しんでいる人たちが、だから俺はまだまだいくぜ!」


「嘘じゃな。お主はただ強いスキルが欲しいだけじゃろ? そう顔に書いておる。別に嘘をつく必要はないじゃろう、そう正直に言えば良いのじゃ。嘘をついてバレる方がよっぽどみっともないぞ?」


 ありゃ、バレてら。俺、そんな分かりやすい顔してるか? この爺さん、読心術みたいなスキル持ってるだろ絶対に。


「あちゃー、バレているのなら仕方がありませんね。まあ、そういう訳なので次の階級の悪魔、紹介してください!」


「そうじゃな……まあ、良かろう。ただし、悪魔の階級が一つ上がると、強さも格段に上がる。儂の見立てによると、恐らく指数関数的に上昇するはずじゃ。つまり、そろそろお主でも気を引き締めねばならん。油断しておると、あっさり死んでしまうぞ?」


 あっさり死んでしまう……か。むしろ殺して欲しいくらいだよな。でもまあ、悪魔の頂点とかだったら沢山殺してくれそうだし、そこまでは頑張るか!


 それに俺はガチャで勝つ為ならばどれだけでも頑張れるのだ。ガチャが嫌いな人間なんていないだろ?


「はははっ、お主は相変わらず余裕そうな顔をしておるのう。それにどこか楽しみにしている節すらある。まあ、この調子じゃと大丈夫そうじゃし、止めても止まらんじゃろ。よし、分かった。では次の情報を渡すとしよう。次の悪魔は子爵じゃ。正直どれほどの強さかは全くの未知じゃから細心の注意を払うように」


 子爵かー。どんくらい強いんだろ?


「場所は第四の街のどこかにおるはずじゃ。今回みたいに正確な場所までは調べきれておらんから、自分で探すのじゃ。恐らく遠距離型ではないかと踏んでおる。まあ、生きて帰ってくるのじゃよ」


 今回はかなり情報が少ないな。まあ、自分で調べてみるのもたまにはありか。


 それと爺さん、間違ってもらっちゃ困るな。生きて帰ってくるんじゃない、死んでも帰ってくるんだ。

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