第392話 男爵様のスキル
男爵を倒した俺はしっかりと心臓を確保した後に何食わぬ顔をして店の正面から出て行った。その時の受付の表情といったら、え? みたいな顔をしててとても面白かった。
本当に信じられなかったのだろう。地下にご案内したはずなのに、何故か生きて出てきたのだから。まあ、この後ご主人の様子でも見て悲しむといい。
いや、もしかしたらご主人から酷いことをされていて、解放されることを知って喜ぶかもな。悪魔だからそんなことも全然あり得るよな? 俺ってば良いことしちゃった?
まあ、いいかとりあえず帰ろう。
❇︎
『悪魔討伐を確認、ゲート解除』
ッダーン!
いててて、普通に忘れてたぜ。初めての男爵級討伐に浮かれてんのか? そう考えるとなかなかダサいな俺。それにまだまだ上があるんだ。気を引き締めていかないとな。
「ただいま、戻りました」
「いや、流石に音で気づくわい! じゃが、お疲れであった。それにしてもかなり早かったな? 戻ってきたということは無事倒せたということであろうな?」
「もちろんです! 心臓はこちらに」
爺さんは俺が悪魔を倒しもせずにここに帰ってくるような人間だと思っていたのか? 流石にそれは心外だな、男爵級ならまだまだ余裕すらある。
「ほほう、男爵相手でも引けを取らぬか、なかなかやるようじゃな、儂の剣なだけはあるわい。それでは今から心臓を解析するから少し待っておるのじゃ」
そうして爺さんは心臓を変な機械に突っ込んだ。うわー、悪魔のでも一応心臓だぞ? 爺さん容赦ねーな、問答無用だな。研究者というとマッドサイエンティストなんかのイメージもちらつくが、この人は一歩間違えるとそうなりそうだな。
いや、研究している題材的に普通にマッドじゃね? 普通のクリーンな研究者は悪魔なんか研究しないからな。
「ほれ、結果が出よったわい」
変なことを考えていると、あっという間に心臓の解析が終わったようだ。
悪魔の心臓からはその悪魔が持っているという固有のスキルを、手に入れることができる。悪魔討伐のお醍醐味と言っても過言ではないだろう。
ガチャ要素もありつつ、それでいて完全に当たりが確定しているような、そんな感じだ。当たりが確定しているガチャって最高にワクワクしないか? 少なくとも俺は大興奮だな。これの為だけに悪魔を屠ったと言ってもいいくらいだ。
いや、流石にそんなことないか、経験値も欲しいしな。
「よし、解析が終了したぞい。今回の男爵級の持っていたスキルは……【ぼったくり】じゃ」
よっ…………しゃ、あ……
「はい?」
あれ? 俺の聞き間違いか? それともよく聞こえなかっただけか? 取り敢えずもう一度聞こう。
「ごめんなさい、よく聞こえなかったみたいです。もう一度お願いします」
「今回の男爵のスキルは【ぼったくり】じゃ」
「……はぁ!?」
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