第394話 RPGで行き詰まった時のイライラ


 とりあえず俺は子爵級悪魔を探すために第四の街にまでやってきた。第四の街というと、帰らずの塔がある場所なんだが、塔を攻略するだけしてそのまま次の街にいったから何も記憶にない。まあ、今回悪魔を探すついでにじっくり街の観光でもすればいいだろう。


 さて、まずはどこから行こうか。いや、何がどこにあるのかすらロクに知らないから探しようもないか。とりあえず歩きながら考えよう。


 んー、とは言っても適当に歩いているだけじゃ見つかりそうにないからな、何か手掛かりはないだろうか。そうだな、この悪魔に関しては情報が全く無いにしても、悪魔それ自体に関する情報は俺の中に蓄積されている。主に、言動とか見た目とかだな。


 ただ、それだけじゃ意味がないな。それらは実際に遭遇してからの、確認程度にしかならないだろう。俺に必要な悪魔の情報は、どちらかというと悪魔の考え方だな。悪魔になりきって考えることができれば、この街での居場所がわかるかもしれない。


 前回の男爵悪魔は娼婦館を作っていた。そして、地下で一見さんの人を喰らっていた。つまり、悪魔は人を食うのか? いや、悪魔と言ってもただあいつだけが異常だった可能性もある。まあ、頭の片隅にいれておく程度でいいだろう。


 他に情報はないか? んー、娼婦館を営んでいたってことくらいか。しかしそうは言っても次の悪魔もそうしているとは限らないからな。まあ、怪しそうな店を見つけたらとりあえず入って話を聞いてみるか。


❇︎


「……いない」


 どうしてだ。どこを探しても全くいないぞ? 最初は当初の計画通り怪しい店だけを探していたのだが、粗方回ってもいなかったため、もう片っ端から虱潰しに探す作戦に打ってでた。


 しかしそれでもいないのだ。店という店を探し回ったのにもかかわらずいないとなるともしかして……


「店ではない……?」


 もしかすると俺は前例に囚われすぎていたのかもしれないな。もう、店を中心に探すのはやめだ。


 ん? とは言っても、店以外ってどこを当たればいいんだ?


 ……もう、面倒くさくなったので、お店以外を見つけたら速攻で乗り込みます。そうすればいずれ見つかるだろ。


❇︎


「…………いない」


 おいおい、このクエストは俺に何を求めてるっていうんだ? マジで分からんぞ? どこにいるんだよ、誰か教えてくれよ。


 はあ? もう建物という建物全部回ったぞ? 後どこにいるっていうだ? もう、いないんじゃないか? そうだろ、これは絶対に爺さんが間違ってるだろ、うん。


 いや、もしかしたら何処か見落としてるかもしれない、少しイライラしてたし、全然あり得るだろう。よし、あと一回、あともう一回だけ回ってみよう、それでいなかったら爺さんの所にカチこもう。


❇︎


 はい、いませんでした。今からカチコミに行きます。爺さん覚えとけよ?



『悪魔討伐を確認、ゲート解除』


 ドスン、


 あー! もううっざ! イライラしすぎて忘れてたぜ。

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