第388話 久方ぶりの爺
『悪魔討伐を確認、ゲート解除』
ストン
無事、仙人になることができた俺は今、とある研究室に来ている。
ここに来る時はいつも着地に失敗していたんだが、俺ももはや仙人だ。綺麗に着地することができたな。まあ、これくらいのことはできなきゃダメだよな?
まあ、これはあくまでも玄関だ。こんなとこに気を取られているようじゃ俺もまだまだだな。
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉー。誰かと思えば久方ぶりの顔じゃのう。最近は随分とほったらかしにしてくれたのぅ、一体どこで油を売って道草を食っていたのじゃ?」
うわ、確かに久しぶりだな。どれくらいから来ていないだろうか、悪魔関連は結構放置してしまっていたからな。仙人になったことだし、これからは本腰を入れてしっかりと取り組もう。
「油も売ってませんし、道草も食べてませんよ。私だって色々ありますから、爺さんや悪魔にばかりには構ってられないんですよ。まあ、それでもこれほど時間が空いてしまったことは素直に申し訳ありませんでした」
こういう時は素直に謝ることが大切だな。別に言い訳することでもないし、どうしようもないことだから謝るのが吉だ。まあ、責められてると感じると謝りたくはなくなるが、どうせなら良好な関係を築きたいよな。
「お、おう。別に良いんじゃよ。それよりも今回はどんな用件じゃ? 悪魔でも倒しに行ってくれるのか?」
いや、悪魔を倒しに行かないのにここに来る理由あるのか? ただ爺さんに顔見せるだけとかか? ないだろ。取り敢えず悪魔をひたすら狩るのだ。
「そうですよ。そろそろ悪魔狩りに本腰を入れようかと思いましてね、爺さんには情報を沢山もらいに来たのです」
「おー! そうかそうか、遂がやる気が出てきたのじゃな? それは良いことじゃ、もちろん今までお主がおらんかった時にたんまり情報は仕込んでおる。ようやく儂の剣が機能するのじゃな。これで研究も捗るというものじゃ!」
随分と喜んでいるな。この様子だと俺以外の剣、というか実動部隊がいないのか? 流石にこれ以上待たせるのも気の毒だし、ちょうど良かったな。
それにしても喜びすぎだろ、そんなに嬉しかったのかよ。まあ、俺が今までサボった分以上の働きを見せればいいのだろう、気合入れて行こう。
「今までの分を取り返してお釣りがくるくらいは働きますよ。じゃ、早速一体目の情報を下さい。まあ、どんな奴でも倒しますが」
正確には倒すまでやる、って感じだな。倒すまで挑戦したら確実に倒せるだろ? そういうことだ。自分の望みを叶えたければ叶うまでやる、これに尽きる。
「そうだな、ではお主には早速働いてもらうかの。相手は……そうだな、場所は第三の街、位は男爵級の悪魔を討伐してきもらおうかの。タイプは近接じゃな。
今までとは違いより物理攻撃が効きづらくなっておる。気や魔法を上手く使って勝つのじゃ。くれぐれも心して臨むことじゃ、ゆめゆめやられるでないぞ?」
ほう、男爵級の近接タイプか……
滾るな。
悪魔は人じゃない、NPCですらない、完全なる悪役で完全なるヤラレ役だ。今はまだ強いかも知れないがいつかはプレイヤーが勝つ運命なのだ、いつやられようが構うまい。だからこそ思いっきり全力で行ける。
俺の手札を総動員して、悪魔狩りを始めようか。
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