第389話 スペシャルコース
俺が今から倒しにいく悪魔は第三の街で娼婦館を営んでいるようだ。どこからそんな情報を手に入れたのか甚だ疑問ではあるが、あの爺さんが言ってるから間違いは無いのだろう。
とりあえずその場所まで行ってみよう。場所はここからそう遠く無かったはずだ。
❇︎
どうやらこの場所のようだな。ん? ちょっと待てよ? 仮にここに悪魔がいるとして、どうやって見つけるんだ? そして仮に見つけたとしてどうやって戦うんだ? 一応許可を取って商売してるんだろ? 今までは完全に見た目は悪魔だったから良かったが、人に紛れてるとか言われたらかなりきついぞ?
まあ、最悪この建物ぶっ壊してもいいか。だって、悪魔が経営してるんだからぼったくってそうだし、何か体に悪い影響もあるかもしれない。
別にこういう商売についてとやかくいう気はないし、その必要性も分かるが、悪魔が一枚噛んでるんだ、ロクなものじゃないはずだ。
そのダメな部分やおかしな部分を見つけて指摘したら、向こうから出てきてくれそうだな。出てきてくれなかったら、一番偉い奴を出せよとか言って引き摺りだそう。
カランコロン
「いらっしゃいませー、どのコースにしますか?」
あ、これって俺客のフリしないといけないの? 嫌だな、俺そもそも女性苦手だし。これはマズったなー、どうしようか、まあここに入った以上仕方ないか。
「おすすめのコースでお願いします」
「かしこまりました。では、通路を曲がってエレベーターにお乗り下さい」
受付の女性はこれと言った特徴が無く、淡々と機械のように喋っていた。本当に機械かと思ったくらいだ。
それにしてもエレベーターなんてあるんだな。意外とこの世界の技術レベルは高いようだ、まあ、現実世界と比べるとそこまではないが、不便さは感じないくらいは発達している。
エレベーターに乗ると、徐に動き始めた。どうやら下に向かっているようだ。窓が無いためはっきりとは分からないが、そんな気がする。
ガチャン、ウィーン
扉が開くとそこはやはり地下だった。何故それが分かったかというと、そこが薄暗くジメジメしており、明らかに日の当たっている場所ではなかったからだ。
そして俺は直感的に分かってしまった。ここに悪魔がいるであろうということを。
「キキキキキキキ、いらっしゃいませぇー、こちらはスペシャルコースの絶望盛り合わせコースですよぉ。ククククククク、随分と困惑しているなぁ、まあここにくる奴らは大抵そんな顔をするんだぜぇ?
もうあと少ししかないお前のために冥土の土産として、教えてやろう何故お前がここに連れてこられたのかをな!
そもそもこの店は完全紹介制なんだよ、だから一見さんが来た瞬間スペシャルコース確定というわけだ。そしてもちろんお前は俺に食われることが決まっているのさ」
何がもちろんなのかはさっぱり分からないが、一つだけ分かったことがある。
おまわりさん、こいつが悪魔です。
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