第384話 対症療法の対処方法


 ふぅ、とりあえずこれでひとまず、師匠に関してやることは終わったようだな。無事、仙人にしてもらえたし、技も伝授してもらえた。


 この世に何人も仙人がいて、その人達に技を伝授できるらしいが、何人くらいの人がいて、どのくらい強いのか、は全く教えてくれなかった。


 師匠と同じようにすんなり渡してくれる人ならばいいが、もし頑固な奴で嫌だ、とか言われたらどうするんだろうな。殴り合いだろうか? まあ、それはその時になってから考えるか。


 これからは何をしようか。死ぬことは定期的にやっていきたいし、悪魔関連も忘れちゃいけない。ただ、秘境みたいな絶景とかも見たいんだよな。


 つまり、俺がしたいことは、強くなりつつ、世界を巡るってことだな。こうやって振り返ってみると、結局以前と本質的な部分は変わっていない。その時々に応じて具体的な内容が変わっているだけなのだ。まあ、それもそうなんだろうけど。


 よし、じゃあとりあえず死ぬか。


 とりあえずは、あの、世界の神秘を手に入れる為に行っていた、あれをやる。まだまだできそうだったからな、単純に死ぬだけでステータスが上がるから、お得なんだよな。しかも、普通ならなんらかの無効化スキルを手に入れてしまって、出来なくなるのがオチだからな。


 まあ、貫通なり悪魔の契約なり抜け道はあるんだが、それでも手間がいるわけで、普通に死ねるだけでお得感が強いのだ。


 飽きるまでとりあえずやろう。それからだ、考えるのは。


「【叡智啓蒙】、【己没同化】」


❇︎


 何回も繰り返していると体が慣れるのか、幾分か衝撃が弱くなってきたように感じる。実際、俺の許容容量が増えたことも一因なのだろうが、死ぬまでに時間と労力がかなりかかるようになってきた。


 これはいつまでも死に続けられるかわりに、死ぬ為の代償も比例して大きくなるな。これ以上してしまうと、流石に効率が悪くなってしまうレベルまできている。まあ、そうは言ってもかなり死ねたし、感覚範囲、量共に強化できたからこの辺にしておこう。


 あわよくばスキルも、とも思っていたのだが流石にそこまで美味しい話はないようだ。


 ん? 俺は今スキルが欲しいのか? それならば作ればいいじゃないか。俺はもう作ることができるのだから、作ってしまえばいい。自分が欲しいスキルをな。


 む? 俺ってどんなスキルが欲しいんだ? スキルって受動的にもらうから、そんなこと考えたこともなかったな。俺にとって足りないもの、ってなんだ? これがあればもっと強くなる、っていうスキルってなんだ?


「……」


 わかんね、だってそういうのって問題があって、その対処療法的に獲得するもんじゃないのか? だから、特に困ってることなんてないしなー。


 あ、そうだ。たまには完全に無意味なことするのもありじゃないか? なんてったってここはゲームだからな、極論しなくていいことでもあるのだ。ならばたまには全力で遊んでみるのもいいだろうな。


 つまり、ネタスキルってわけだな。

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