第369話 仙人への道


「おかわりじゃ!」


 何こいつキモいんだけど。でも流石におかわりしまくってたら生物濃縮的な感じで体に異変起きないかな?


 ズズズズズズズズッ!


 ズズズズズズズズッ!


 ズズズズズズズズッ!


「おかわりじゃ!」


 何こいつ、ぶん殴りたくなってきたんだけど、三度の啜りで食い終っちゃってるじゃん。どういうことだよ全く、全く異変も見受けられないし、おかわりもどんどん少なくなっているし……


❇︎


「ふぅー食った食った。久しぶりの満腹感じゃわい」


 何こいつ、おかわりも全部食ってスープも全部飲み干しやがったぞ。え? 俺に恨みでもあるの? ってか恨みあるの俺の方なんだけど。


 もういいや、面倒臭いから直接聞こう。別に俺が殺そうとしてたことなんて思われても別にいいし、どうせ死なないって分かってたし。


「毒入れてたのになんで効いてないの?」


「ん? お主毒を入れておったのか! はっはっはー! 通りでこれほどまでに美味しかったのか!

 儂は生きていく為にあらゆるものを食べてきて生きてきたのじゃ。それこそ毒があろうとなかろうとな。そうしてきたもんじゃから気づいたら毒なんてもんは効かなくなったのじゃ。

 むしろ毒は美味しいぞ? 仙人界隈では密かに毒ブームが起きてての、どの毒が一番美味しいか議論されてもいるんじゃよ? 

 それにしてもこの毒はなかなかの美味であったな。なんの毒を使ったのじゃ?」


「おしえねーよ」


 流石にウチの従魔ですとは言えねーし、言ったら言ったらで何が起こるか怖いからな。それにしてもなんだよ仙人界隈って、お前だけじゃねーのかよ。それに毒の議論って、もっと生産的なことしろよ!


 くっそ、毒が全く効かなかったのは正直誤算だったが、まあ死ななかったら死ななかったで俺が仙人になるだけなんだけどな。あ、一応言っとくが俺が仙人になっても決して、決して毒議論には参加しない。俺のデトは俺だけのものなんだ。


「なあ、師匠、早く俺仙人になりたいんだけど」


「おぉ、そうじゃったな。……って、お主が何処かへ行ったからじゃろ! 何、儂のせいにしておる!」


「だから、飯持ってきたじゃん。というわけではよ」


「ぬぅ、しょうがないの。美味しさに免じて今回だけは許してやるわい。

 仙人になる為の条件なんじゃが、まずは瞑想から始めて、その後に断食をするのじゃ。そしてそれを続けておればいつかは解脱ができるのじゃ。まずはそのステージまでに来ることじゃな。話はそれからじゃわい」


 瞑想して断食して解脱か。……ん? 俺もってね? それ全部してるし、スキルも全部持ってる。


「師匠、俺もう解脱してるわ」


「……なんじゃと!?」

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