第368話 体調不良


 ギィーー


 山の麓にいくと、そこには一つの小さな小屋があった。いかにも仙人住んでます、って感じの小屋だ。


 とを開けるとそこには、特に何もなく、中央にあぐらを組んでる人がいた。いや、正確には趺坐、と呼ばれるものであるのだろう。まあ、いわゆるお父さん座りだな。


 バタン


 取り敢えず一旦閉めよう。流石に瞑想の邪魔をするのは良くないからな。それに、邪魔をしたところで驚異的な集中力によって気付かないかもしれないからな。取り敢えず、ギルドにでも行って依頼でも受けるか。


「おい! またぬか! 何処に行こうとしておるのじゃ? 何故扉を開けたにも関わらず入ってこないのじゃ! それに儂がお腹を空かせていることも承知であろう! 早く儂に飯をよこすのじゃ!」


 なんだよこのジジイ。ガキかよ、仙人ってこんなにガキなのかよー。こんな奴のためにせっせと料理を作った俺が馬鹿馬鹿しいぜ、全く。


「分かった、分かったからその手を離せよ!」


 そう、俺は腕を掴まれていたのだ。しかも異常なほどの握力でだ。この爺さん中身はただのガキだが、瞑想してたりこういうところで仙人感を出してくるのがウザいし、食えないのだ。


「ちゃんとあんたの為に料理を作ってきたんだから、取り敢えず腕を離してくれ」


「なに!? 作ってきたじゃと??」


 おいおいおい、なんでそれで腕を握る力が強くなってるんだよ。別にこっから逃げようとは思わないだろ。それかあれか? 一度掴んだ獲物は逃さない的な? 掴んでるんだからいいだろもう。


「ちょっとまじで一旦離してくれない? 料理取り出せないんだけど」


「お、おう。すまんの。じゃあ、早速料理を出すのじゃ」


 せっかちすぎるだろ、全く。だが、ようやく離してくれたな。一気に世界が開けた気分だな。ずっとギブスをしていたのを外した時の感覚みたいだ。まあ、骨折したこともなければギブスをつけたこともないんだけどな。


「はい、爺さん。これが料理だ。おかわりもいっぱいあるから死ぬまで食べていいからな」


「うひょー! 気が効くのぉー、これはうまそうじゃい! いっただっきまーす!」


 ズズズズズズずッ!


 ほんと中身はガキなんだな。一口でありえない量の麺が吸い込まれていったんだが、大丈夫か? お変わりもありえない量作ったから大丈夫と信じたいのだが……って、その前にお腹下せよ。


 ズズズズっ!


 ん? おかしいな、そんなに何もないことなんてあるのか? この一杯にどれだけの毒が含まれてると思ってるんだ? 仙人っていうくらいだから死なないとは薄々感じてたけど、体調不良くらいは起きてくれよ。


 ズズズズズズズズッ!


「おかわりじゃ!」


 何こいつキモいんだけど。

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