第367話 特製料理


「すーはー」


 とうとうこの時がやってきたようだ。料理も修行して上級料理人まで上り詰めた。毒も最強の味方を手に入れたし、ある程度までなら自分で作ることすらできる。


 そしてやりたかった毒で死ぬこともできた。壊毒がどんなものかは分からないがかなり強そうなスキルも手に入れた。


 もう、時は完全に満ちたと言ってもいいだろう。そう、俺は今から師匠の所に乗り込むのだ。


 そもそもあまり師匠とすら思っていないのだが、それ以外呼び方が無いためにそう呼んでいるのだが、いわゆる仙人の奴だな。


 仙人ってことは本当は凄い人なんだろうけど、いかんせん性根の部分がな。まあ、ただのフィーリングの問題だ。タダ飯された奴に対して素直に教えを請いにいこうとは思えなかっただけだ。


「よし、作るか」


 なぜこれほどまでに俺がゴタゴタ御託を並べているのかというと、恐らく緊張しているのだろう。自分と婆さん以外に料理を作ったことがないのだ。初めて他人に振る舞うのだ。だから無意識のうちに緊張しているのだと思う。


 なんか久しぶりの感覚だな、緊張なんていつからしてないだろうか。こうして感じてみると、緊張も必要なんだと思わされる。なんか、適度な緊張感が自分のパフォーマンスを上げてくれる気がするのだ。


 今回作るのは何となくもう決めてある。それはラーメンだ。ラーメンはスープがあるから毒を仕込みやすいし、替え玉というシステムでおかわりもしやすい。それに、俺が婆さんから食べさせてもらった飯でもあるからな。それを師匠に食べてもらうのだ。気に入ってくれると嬉しいな。


 今回作るラーメンは豚骨ラーメンにしようと思う。味噌、醤油、塩でもよかったのだが、豚骨が個人的に一番好きなのだ。


 ってなわけで今回使用する食材がこちら! 今しがた息の根を止めてきたドックピッグです。この豚は脂肪が多く、毒性のある汗をかくことで有名です。こいつで豚骨をとりたいと思います。


 油もこいつでいいですね、適当に味付けをして、チャーシューもこいつから作れますので、丸ごと一匹使える算段でございます。そしてデトの毒のあまりをお好みでぶちまけましょう。デトの毒がない方は別の毒でも構いませんよ? なるべく強い毒を用意しましょう。


 そして、ラーメンにおいてスープの次に大事な麺、ですが、これもしっかり用意してあります。こちらです! 小麦粉のようなものにデトの毒を練り込んだものになります! 毒を練り込む作業は、小麦粉の色が全体的に紫の色になるまでやるのがオススメです! しっかりとしたアクセントになってくれるでしょう。


 そして、最後にネギ、メンマ、ノリ、卵、もやし等を好きなようにトッピングすれば完成です!



 あいよ! 豚骨ラーメンの完成だ!



 …誰だよこいつ。早く持って行こう。


 俺は料理をアイテムボックスに入れて、足速に山の麓に向かっていった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る