第366話 デトックス性能


 自らの力で倒したキングサーペントを満足そうに食べたデトックスは、進化こそしなかったものの、体の色に変化が現れた気がする。体が全体的に紫の配色が強くなってきた。もともとは黒と緑を足したようなヘドロみたいな色だったのだが、そこに紫の毒が追加されたイメージだな。


 まあ、いずれにせよ体の色が変わったということは、体に変化だ起きたということだ。そしてそれは恐らく毒の強化なのだろう。また、試してみないとな。


「あ、」


 そうだ、試す前に聞いておきたいことがあったのだ。


『なあ、デトックス、最初相手には毒効いてなかったくないか? どうして途中から効き始めたんだ?』


『あぁ、そちらでございますか。それは毒の種類をいろいろと変更していたのですよ。元来我らは自分の身を守りながら毒で勝つ、という手法を取っているのですが、ご主人様に出会って、たくさんの毒を摂取したことにより、私は毒の種類を自分で自由に組み合わせて作ることができるようになったのです。いわば特性の違う毒袋をいくつか持っている、みたいな状態です。それでいくつか試した中で最も効果が見受けられましたものを使用した、という感じです。

 長々と説明してしまい申し訳ありません』


『いや、大丈夫だぞ。それよりもそういう理由だったのか、なるほど、相手によって自由に毒を変更することができるのか。ということはこれからもなるべく多くの毒を食べさせた方がいいてことだよな?』


『左様でございます』


『オッケー、了解した。次がいつになるかは分からないがとりあえず今回はお疲れさん、ゆっくり休んでくれ』


『ありがたき言葉』


 そう言ってデトックスは戻って行った。


 あ、そういえばあれをまだやるのを忘れてた。


「デトックスー」


『はい、なんでしょう』


『すまん、最後に俺を噛むのだけしてくれねーか?』


『かしこまりました』


 カプッ


 あっ、広場だ。ってことは死んでるな。おお、遂にデトックスの毒が劇毒を超えたってことか。凄いな。ここまで強くなるとはなー。本来は悪魔の契約でステータスを初期化して毒殺しようと思ってたのだが、嬉しい誤算だ。


 しかし、お疲れ様と言った手前、ここからの死に戻りに付き合わせるのも悪いし、なんか嫌だ。


『ってなわけで、穴掘ったからここに毒液溜めてくれないか? そしたら正真正銘、帰っていいからな』


『かしこまりました』


 俺は広場に穴を開けたから、側から見るとなんかずっと広場にいるやつみたいになっているかもしれないが、ちゃんと死に戻ってるから安心して欲しい。


 そして、今回は死ぬのも早いし、移動時間もなかったためすぐに終わった。



ーーースキル【壊毒無効】を獲得しました。



【壊毒無効】‥壊毒以下の毒を無効にする。

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