第364話 洞窟探索


 俺とデトックスはキングサーペントを倒す為に、洞窟を更に奥へ、奥へと進んでいっていた。俺はふと、あるスキルの存在を思い出して、それを使うことにした。


「【魔除け】!」


 このスキルの効果はその名の通りモンスターを寄せ付けない、というものだ。これさえあれば安心して洞窟探索を続けられるな! それに、恐らくボスであろうキングサーペントは逃げないだろうから、それもばっちりだ。


 それにしても思ったよりも長いな。こんなに長いのか? そんなに明るくもないのに、これほど入り組んでいるとは、難易度高すぎじゃないのか? 俺も何度か行き止まりにあってるし。これに加えてモンスターなんかわんさかきたら大変だろ。まあ、俺らは地道に進んでいけばいつかは、っていうのがあるから気持ち的にも楽なんだよな。



ーーースキル【夜目】

   スキル【抗魔燈】を獲得しました。


「【魔除け】は【抗魔燈】に統合されます」


【夜目】‥光量が少ない状態でも見えるようになる。しかし、一切光がない場所では効果は無い。


【抗魔燈】‥モンスターが嫌がる燈を生み出し、モンスターを自分から遠ざける。効果範囲は熟練度に応じて拡大する。



 おー! これはまさしく洞窟探索にピッタリなスキルたちじゃねーか! ずっと使ってたからか、魔除けも進化してくれて嬉しいぞ! これでますます探索が捗るってことだな!


 探索をしていると、宝箱を見つけることがあるのだが、何故か俺が開ける前に逃げられてしまう。そんな意地悪な宝箱ってあるんだな。だから俺は逆にもう見つけても開けようとすら思わないぜ。


 そんなこんなで、何度も行き止まりにぶつかりながらも、進んでいると、遂に、遂に到着した。


 そこには、超巨大な大蛇が、ん? これ頭痛が痛いみたいになってないか? 大丈夫か? まあ、いいか。滅茶苦茶大きなヘビが、蜷局を巻いて寝ていた。王者、いや王蛇の貫録だろうか、寝ているだけでも近づき難い雰囲気がある。


 果たしてデトックスはこいつに勝てるのだろうか。キングと言われて思い出すのはキングミノタウロスや、実はエンペラーオークだった、キングオークとかだな。


 どちらも本当に強敵だった。特にミノタウロスはその特性も併せて強かったんだよな。まあ、それのおかげで俺もステップアップできたのは間違いない。


 それを是非ともデトックスにも経験して欲しいのだ。自分の殻を破ってまた新たな世界を開いて欲しい。あ、でも自分の甲羅を破れってことじゃないからな? あくまでも比喩表現だ。


 よし、そろそろいくか。体格も、恐らく毒も、格上の相手にデトックスがどんな戦いをするのか楽しみだな。


『デトックス、どうだ、いけるか? もしも本当にやばくなったら俺にいつでも言っていいからな? 無理だけはしちゃダメだ。わかったな?』


『ご忠告、痛みいります。お気遣いに感謝申し上げます。このデトックス、必ずやあの大蛇を倒して見せましょう』


 うん、いい感じだな。


 そして、デトックスがキングサーペントに近づいたその時、


「キッシャァアアアアアーー!!」


 王蛇が眠りから目覚めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る