第362話 ヴェノム


 よし、これでデトックスもかなり強化されたことだろう。俺の毒に加えてで蜂の毒に対してもいけるようになったんだからな。確実に強くはなっているはずだ。後は、俺を殺せるかどうかなんだが……


 カプッ


 うん、まだ殺せないようだ。ということはまだまだ強くなる必要があるってことだな。そこでどうやって強化するかだが、次はより実戦で強くなってもらおうと思う。


 今までは正直、蠱毒にしろ、毒のプールにしろ、蜂の捕食にしろ、全てなんというか他人任せというか、受け身だった。だからこそ、今回は、デトックスの実力を確かめると同時に、毒及び実戦能力の強化も図っていく。


 毒だけが強くなっても、いずれ俺はその毒が効かなくなるのだからちゃんと戦えるようにはしておかないといけない。デトックスにはどんなポジションが似合うのか、そんなことも考えながら俺は観戦しようと思う。


 よし、では戦う相手を決めるか。今回は実戦だからそこそこ強い、いやかなり強い相手に立ち向かってもらおう。毒持ちでかなり強いモンスターは……


「こいつだ!」


 その名もイータースコーピオン、猛毒を持ったサソリだ。名前に捕食者と冠するほどの圧倒的強者だ。こいつに今のデトックスがどこまで立ち向かえるのか、非常に楽しみだな。


 普通に考えたら、サソリとカメってサソリの方が強そうなんだが、そこをどうにか打ち破って欲しい。


 生息地は第五の街だな。ここから東へ行ったらある、洞窟にいるようだ。もしもの場合は俺が手助けに入るが基本は死にそうになる以外は基本的に手助けするつもりはない。極限、を意識することによって人もモンスターも更に上の段に上がれることだろう。



 洞窟に到着した。なかなか雰囲気が出ている。ここならサソリだけじゃなくてヘビもクモもコウモリも誰彼構わず出てきそうだな。ここはゲームだからお化けも余裕で出てくるか。まあ、俺は怖くないから大丈夫なんだがな。


 デトックスを俺の前にだして先導させる。別に他意はない、素早く戦闘に移るためだ。


 バサバサバサバサバサッ


「ひっ!」


 なんだ、コウモリかよびっくりさせんなよ。まじで反射的にこの洞窟を壊滅させようかと思ったぜ。まあ、デトックスがいるからなんとか思いとどまってあげたけどよ、デトックスに感謝しろよな。


 カサカサ、カチカチカチ


「うをっ!」


 って今度は本命のサソリがお出ましのようだ。なかなか見つけられなかったらどうしようかと思ってたぜ。ちゃちゃっと倒してさっさとここから出よう。あんまり空気がジメジメしてるとちょっと体調崩れそうだからな。


『いけっ! デトックス、お前の力を見せてやれ!』


『かしこまりました。……ヴェノム』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る