第353話 全員集合


 海? と思う人が大勢いる事だろう。海に穴を掘ってもどうせ海水が流れ込んでくるのだからな。ふふふっ、甘いんだな。まあ、見ていれば分かる。


 まずは穴掘りだ。場所が無ければなんの意味もないからな。穴を掘って掘って掘りまくる。この世界が現実世界とどれだけ似ているかは分からないが、ある程度したらやめとく。


 だが、もちろん俺が直下掘りしている間にも水は流れ込んできて超巨大なストローの中に海水が居座っている状態になっている。ここで発動するのが、


「【水操作】!」


 こいつの活躍の場所はこんな所だったとはな。まさかすぎた。俺も海の底、いや、海底の地下? なんていうかわからないが、そこでやろうと時に、できる訳ないと感じた。だが、俺は閃いてしまったのだ。


「ふんっ!」


 俺が掘り進めた所の真下まで潜って、そこから持ち上げるように、押し上げるように、水を押す。掘った穴が小さいのでこんなことをせずともできるかもしれないが、一応の為と雰囲気の為だな。


 水操作の熟練度はいつの間にか上がっていたのか、体から一メートルくらいまでは操作できるようになっていたのだ。そして、体が触れていれば操作できるから、海水を上に押し上げることができるってことだな。


 そして、海底まで登ってきた時に、


「あれ、どうやって塞ごう」


 何も考えてなかった。急いで、一本道から枝分かれするように、入口からすぐのところに、横道を建設した。そしてそこに、


「アイス!」


『どうしたのー、ごちゅじんさまー』


 アイスの可愛さに癒されたいが今はそれどころではないな。


『頼む、ここの入り口の水を凍らせてくれないか?』


『わかったー、あいすぼーる』


 ピキンッ


 アイスが魔法を唱えると、一つの小さな球が飛んだかと思うと、一瞬で凍った。しかも入り口だけでなく結構な範囲をこおらせた感じだ。相変わらず、可愛い顔して、恐ろしいな、うちのアイスは。


『ありがとーアイス。また今度お礼するねー』


『分かったー』


 ふう、これで巨大な通路は完成した訳だな。あとは広場を作るだけか。俺は今入り口付近にいるから、下まで飛び降りたら、エレベーターの気分を味わえるかもな。


 どすん


 普通だったな。まあ、いい。さっさと広場を作るか。


「【爆虐魔法】、ダイナマイトボム」


 ッダーーン!!


 うん、良い感じだな。少し整地をしないといけないが、自分でやるのは面倒くさいな。その間に俺がモンスター取りに行ったほうがいいだろうし、


「全員集合!!」


 俺の従魔たちを呼び出した。ハーゲン、アイス、ホネズ、そして、何故かでっかい蜘蛛がいる。あー、そう言えばどこかで服従させたような……?


『お前がいなかったら大変だろ、お前は戻っても良いぞ』


 そう言って蜘蛛だけは引き返させた。


 何ていうかー、その、気まずかったのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る