第347話 婆さんからの餞別
「料理、に関する称号が一定数を超えました。料理人、が第二職業として解放されました」
第二職業? なんじゃそりゃ、料理人が職業になるってことか? ってかもともと俺って職業なんだったっけ。あ、修行僧か、そういえばそうだったな。そこに加えて料理人、なのか……どういう効果があるんだろうか。
料理人の職業効果ってのが見れるな。どれどれ……料理の出来が良くなるのと、えーっと、え? 戦闘中にモンスターの部位が見えるようになるのか? それで弱点とかも分かるって、なかなか強いじゃねーか!
これは頑張って修行した甲斐があったな! 料理の知識がこんな風に生きるとは思ってもみなかった。しかも部位が見えるだけじゃなく、肝臓といった内部情報までまる裸にすることで、より効果的な攻撃が可能になるようだ。
恐ろしい、恐ろしいなこれは。でも確かにこの世界の料理人だと、ゆくゆくは自分で素材から確保した方が良さそうだもんな。現実世界みたいに流通が行き届いているわけでもないし、それ相応の戦闘能力も求められるのだろう。
「いひひひひ、その様子だとやっと料理人になったようだねぇ。ここからは一人で頑張るんだねぇ。まだまだ先は長い、ねぇ。鍛錬をおこたらないことだねぇ。最後にすこしだけ餞別をあげるねぇ」
ーーー称号《毒殺婆の後継者》を獲得しました。
「《毒殺婆の愛弟子》は《毒殺婆の後継者》に統合されます」
《毒殺婆の後継者》‥毒殺婆の好感度が高いまま修行を終える。職業、毒殺料理人が解放される。
婆さんからそのように告げられると、称号を獲得した、どうやら俺は婆さんからの好感度が高かったようだ。それと、今までなんとなく考えないようにみて見ぬふりをしてきたが、この婆さんは毒殺婆って呼ばれてたんだな。
ってことはもともと毒殺を専門とする料理人だったってことなのだろうか。そして、今ではもう身を引いて、生きるのに辛くなった人たちに対して極上の死を与えているんだな。凄い人生だな。
そんな婆さんから教えを請うことができて本当に恵まれていたな。最初はほんの出来心だったが、今では素晴らしい料理の世界に足を踏み入れることができた。本当に感謝だな。
「婆さん、今まで本当にありがとうございましたっ!」
俺は深々と頭を下げた。
店を後にした俺は早速毒殺料理人について調べてみた。すると、さらに驚愕する内容がそこにはあった。
まず、料理人の効果が引き継がれており、それに加えて、毒の威力が上がる、毒を調合できるようになる。毒についての耐性が上がる、とあった。まるで料理人と毒殺者を足してにで割ったような職業だ。まあ、名前からしてそうか。
これはもう、次やることはあれしかないな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます