第345話 最終試験
中級料理人、ここまでの道のりは険しかった。だが、これで俺は更に上へと目指すことができるようになったということだ。
それにしても料理の修行を始めてから、何かと変な、というか多くの称号をもらっている気がする。まあ、もとからたくさんもらってはいたものの、ここ最近でかなり多い気がする。
まあ、気にすることでもないか。あって困るものでもないし、くれるっていうならドンドン下さいって感じだな。
それよりも俺は、先ほど悪魔の契約をしてきた。前回と同じような悪魔だった気がするが本題はそこではない。そう、俺は今から上級料理人に向かって歩み始めるのだ。一体どんな修行が待ち受けているのか楽しみが優っているな、大変さよりもその後に待っている高みの方が待ち遠しい。
ってなわけで、
「よろしくお願いしますっ!」
「いひひひひ、いよいよここまできたねぇ。今日からは自分でレシピを考えるんだねぇ。私が指定した食材で料理を作るんだねぇ。」
おー、まさしく最終試験、って感じだな! 今まで教わってきた技術を駆使して、この婆さん、いや先生を唸らせればいいんだな。うん、面白そうだ! ちょうど料理を作ってみたくなってきたところだったし、ちょうど良かったぜ!
「分かりました! よろしくお願いします!」
「いひひひひ、じゃあ最初は熊肉とトロギア・ヴェネナタ、あとは紫人参と白魔芋で作る、んだねぇ。お好みで好きなものも追加していいからねぇ」
なんと、しょっぱなから熊肉とはな、流石に一筋縄では行かせてくれないようだな。そもそも熊肉というものは甘味と旨味が強くて旨味がスープに溶けやすいという特徴を持っている。現実でも食べられているかは知らないが、こっちで食べた分にはかなり美味しかった。
そしてトロギア・ヴェネナタ。これは俺が始めてこの婆さんの店に訪れた時に出されていた料理に入っていたらしい。見た目は白っぽいキノコだ。こいつもなかなか旨味の塊であるが、そこまで主張は激しくない。
紫人参は紫色の人参で特に特筆すべきことはないが、白魔芋はその語感とは裏腹に、現実世界のじゃが芋に似ている。
俺はこれらの食材を言われた瞬間に、あるレシピが思いついた。みんな大好きなあのレシピだ。旨味が強くその旨味を周りの野菜に染み込ませるほどの熊肉、そして、旨味も強いが、その食感もアクセントとなるトロギア・ヴェネナタ、そして人参、ジャガイモときたらもう、あれしかないだろう。早速食材調達に向かおう。
俺の世界図録を参照し、それらの居場所を確認する。食材を購入するのもいいが、やはり一流になるには鮮度も鍵になってくるだろう。だから速攻で倒して、速攻で採取して、すぐに調理に取り掛かるのだ。
他にも必要な調味料とかは自力で買い揃える。現実にあるものは大抵あるし、ないもののほうが多い。
調理も今までの技術の全てをフル活用して行っていく。全ての五感を総動員させ、刹那のタイムラグも許さない。素材の味を最高に引き出していく。
そして、遂に、
「よし、熊肉の魔カレーの完成だ!!」
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冷静に、魔カレーってなんですかね??
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