第338話 合格!?


 合格……した。合格、した。合格した、合格したーーー!!


 遂に、遂に合格したぞ!! 長かった、非常に長かった。もう何度スープを作ったことだろうか。もう体が無意識に食材を買い出しに行こうとしているくらいだ。


「ふぅー」


 まさか、野菜の煮込み時間がそれぞれ違うだなんて、始めたての俺では考えつきもしなかった。でも、今思えばそれは当たり前だよな、人間だって一人一人育て方も違えばピークも違う。野菜も同じなんだ、料理を作るのではなく、育てる、という感覚が俺には必要だったんだな!


「次は、お肉のスープ作り、だねぇ」


「は?」


 婆さんの言葉の意味を理解するのにかなりフリーズしてしまったが、それを理解してからは恐らく、無意識に買い出しに行って、スープ作成に取り掛かっていた。


 そして始まったのが、お肉ラッシュだ。牛、豚、鶏さらには、馬、兎、鹿、猪、他にもよく分からないモンスターを買い漁り、鍋に放り込みまくった。だが、今回は一つずつだったということもあり、比較的楽だったが、それでも肉、という難しさに慣れるまでが大変だった。


「いひひひひ、よくできてるねぇ。合格だねぇ。今度は魚、だねぇ」


「あ、」


 お肉が終わればこの地獄のスープ作りは終わりだと、心のどこかで思っていた。でもよく考えればそりゃそうだよな、野菜、肉があったら魚も来るよな。


 だが、この魚が鬼門だった。まずは下処理が大変だった。三枚おろしとかしたこともない俺が、もう無意識にできるようにまで到達した。


 このとき、アイテムボックスがなかったら死んでいただろう。捌いたそばからスープを作っていたら効率悪いからな。一気にまとめてしたことで、幾分か早くは習得できたはずだ。


 そしてさらなる関門が、魚は野菜、肉と違ってあまりにも個性が違い過ぎたのだ。野菜もかなり違う方ではあったが、根、茎、葉でおおよその時間は分かるし、肉も肉である程度は大別できたのだ。


 しかし、この魚は見た目では白味魚か赤魚かも分からないし、ましてやモンスターなどどっちでもない奴も出てきたのだ。こうなってくるといよいよだ。途中でアイテムの説明欄という機能を見つけた時は思わずガッツポーズをしてしまった。


「はぁあー」


「いひひひひ、合格だねぇ。次はキノコだねぇ」



 ❇︎


 もう記憶なんてものはどこかに置いてきてしまっていた。キノコはかなり楽だったが数が異常だった。途中、買い出しじゃなくて山や森でひたすら採れと言われたから採りまくった。


そしてその次は、山菜とか言われて走ってとってきた。もう、なにが食えるかとか気にせずひたすらにとって、くる日もくる日も鍋に突っ込んだ。


「いひひひ、合格だねぇ。これでひとまず終了、だねぇ」


「ふぅ、終わったーー!!」



ーーー称号《下級料理人》

   称号《植物図鑑》

   称号《動物図鑑》

   称号《魔獣図鑑》を獲得しました。


「《植物図鑑》、《動物図鑑》、《魔獣図鑑》の三つの称号は統合されます」



ーーー称号《世界図録》を獲得しました。



《世界図録》‥この世界に現生している生き物を数多く見る。スキル【世界図録】を取得する。


【世界図録】‥自分が見た、この世界に現生生物を記録していく。自分が知っている知識によって記載内容が変更する。


《下級料理人》‥素材の味を引き出せるようになる。素材の味を完璧に引き出した時に、味に補正がかかる。熟練度に応じて補正度上昇。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る