第320話 一人立つ者
ッッダーーーーーーーーーン!!
二つの爆炎が激突した。
その光景はさながら太陽を間近に直視しているようだった。圧倒的な光量とエネルギー、その全てを一身に受け、自らの存在を消し飛ぶかとさえ思った。神とすら思える神々しさも含んでいた。
人間が自分を容易に消し炭に変えれる程の圧倒的エネルギーの前に直面すると人は神と認識してしまうのだろう。今まで歴史上で語り継がれて来た神とは皆そのようなものだったのかもしれない。
そんなたわいもないことを考えていた。そして気づいたら俺は荒野に立っていた。
ーーースキル【人魔一体】を獲得しました。
「【従魔武装】が統合されます」
ーーー称号《爆炎の使徒》
称号《頂点に立つ者》を獲得しました。
【人魔一体】‥魔物と融合して新たな生命体になる。服従させればどんな魔物でも融合可能。魔物に応じて特性が変わる。
《爆炎の使徒》‥全てを消し去る莫大なエネルギーを生み出す。爆発の威力に大補正。スキル【マテリアルボム】を取得。
《頂点に立つ者》‥第一回頂上決戦で優勝する。NPCからの好感度が上昇する。
あ、俺は今試合に勝ったのか。ここはどこかと思ったぞ。ってか、相手もそうだけど観客たちはどこにいったんだよ。少なくとも相手が死んだのはわかるけど、観客は死なないだろ。
それにしても勝ったのか。あまり実感湧かないな。
あ、視界が切り替わった。試合会場に行く前にいた広場に戻ってきたようだ。
今回のイベントは優勝という形に終わったけど、何か喪失感が大きいな。目標にしていたものをあっさり達成してしまったのも大きな要因だし。戦っているときに感じたんだが俺はやはり人間相手というより、モンスターや悪魔とかを相手にする方が性に合っている気がする。
どうしても同じ人間相手だと遠慮の気持ちが出てしまう。自分がされたら、と思うとどこか気がひけるのだ。まあ、今回は心を鬼にしてその気持ちを抑えたんだがな。
今回の優勝を機に、またもう一度自分を見つめ直してみるのもいいかもしれない。原点回帰というか、最近は戦いにばかり明け暮れていたように思う。俺の原点は死だし、感動だからな。もう一度それを追い求めてみるのもいいかもしれない。
ピロン
ん? なんか来たぞ。なになに、イベント報酬のお知らせ? あ、このイベント報酬なんてもらえるのか。
どうやらいろんな種類の報酬からいくつか選んでそれをもらえるらしい。お金、スキル、装備、アバター、アクセサリー、とかだな。欲しいのがなかったら、言えば検討すらしてくれるらしいぞ。
うーん、俺はお金でいいかな。基本的に金欠だし、武器のお金まだ払っていないんじゃないか? まあ、お金はあって困るもんじゃないからな。すぐに稼げはするけど、必要な時に必要な分あることが大事だ。
あとは、スキルはそんなに要らないし、装備も大丈夫だろ? 残りはアバターかアクセサリーだな。んー、アバターはシステムがよく分からないが、今回のイベントで多くのプレイヤーに見られたからな、隠れる、という面ではいいかもしれない。アクセサリーは補助的なものなのだろう。ステータスをあげたり、特殊な効果をつけたりってものが多いな。
ん? これはなんだ? 効果は死に対する親和性が高まる、って書いてあるぞ?
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