第306話 時は少し戻って第一回戦
私はイチゴ、この世界で魔法使いをしているわ。今日はこのゲームで一番強い人を決めるの日ですの。私はなんとか最後の第十回イベントで優勝しまして、なんとかこの大会に参加することができましたの。
ただ、この大会の予選となったイベントでは優勝者は次のイベントには参加できないんですの。つまり、最後に優勝した私は実質この大会の参加者の中で最も弱いということですの。
それを証明するかのように、トーナメント表ではシードに当たる小山の位置でして、初戦を勝っても、次に当たるのは第一回優勝者ですの。
ですが、私は諦めておりませんよ? 確かに私は最後の最後に優勝したかもしれません。それでも私は十分に強いということを証明いたしますわ。ですので、この初戦はもちろん、必ず二回戦も勝ち上がって決勝戦に進みますわ!
その為にもまずはこの初戦、是が非でも取りに行くんですの。
「第一回頂上決定戦を開始します!!」
そうアナウンスがありましたわ。その会場に来ているプレイヤーは怒号のような歓声をあげ、誰もがこの大会を楽しみにしている様子ですわね。それにこの会場に来ていない人たちにもタイムラグ無しに全プレイヤーに生中継されていますの。つまり、今から全プレイヤーに私の戦いを見られるということですわ。
この大舞台で私の強さを証明することができれば私もようやく強者の一端として認められるはずですわ。
「お前が俺の初戦の相手か、忍ぶことが生き様である俺にとってはこのような晴れ舞台、似つかわしくないにも程があるが、折角招待されたのだ。呼ばれたからには全力でいかせてもらう」
「何を当たり前のこと言ってるんですの? 私もアナタなんかに負けるわけにはいかないの!」
「3、2、1、」
「ふっ、言ってくれる。では、いざ尋常に」
「GO!!」
「【隠遁】」
「えっ!?」
き、消えた、ですわ? まずい、まずいですわ。初手に消えられて不意打ちなんてされたらたまりませんわ! で、でもどうやって姿を見つければ……
「はっ、そうですわ! 【大海魔術】大津波!」
私がスキルを発動すると、周囲の魔力が私の元に吸い寄せられて行く感じがしますの。そして数瞬後、
ッザッバーーーーーン!!
見つけられないのならば、近寄らせなければいいだけですわ。見えなくなったと言っても、実体も消えるわけじゃありませんのよ。
「天災を操るとはな、やってくれるじゃないか。だが今のはほんの小手調べに過ぎない。影に潜みしこの力、止められるかな? 【操闇】!」
な、なんですのこれは!? 相手の周囲に光が集まってきたと思ったら、私のいる所が暗くなってきましたわ! 相手の姿が見えませんの! しかも、さっき大津波使ってしまいましたから、すぐには使えませんし……
「ふふっ、闇を操るとは即ち光を操ることと同義なのだ。同じ大技が何度も使えないのは必然の道理だ。ならば、また姿を晦ますのもまた道理。さて、今度はどうするかな?」
ど、ど、ど、どうすればいいんですの? 相手の姿が光って見えないんですの、っていうより、私が暗い所にいて、眩しいものをずっと見ている、みたいな感じですの。まるで闇に目が慣れて瞳孔が開いたところに、光をあてられているようなそんな状況ですの!
ん? こちらが暗くて、相手が明るいから見えないんですの、つまり、こちらも明るくなればいいってことですのよね? しかも先程大津波を使いましたから相性がいいですわ!
「【雷鳴魔法】、サンダーボルト!」
「なにぃっ!?」
先程大津波を撃ちましたので、それのおかげでこの地面と相手が濡れてましたので雷がクリーンヒット、ですわ!
「雷も扱えるとはな……だが、ここからが本当の、なにぃっ!?」
どうやら、サンダーボルトの効果で麻痺にかかったようですね。かなり確率が低いはずでしたのに、今回は運がいいですわね。畳みかけますわよ!
「【樹木魔法】、ドレインシード!」
この魔法は周りからMPを吸収して成長する種ですわ。もちろん苗床は相手のプレイヤーですの、その力尽きるまで吸い尽くしますわ! そして吸収したMPは私に還元され、トドメの魔法を撃つんですわ!
「これで終いですわよ! 【火炎魔法】、ボーンファイヤー!!」
木に効果が抜群な炎攻撃を放つと相手のプレイヤーはポリゴンの結晶となって消えていきましたわ。
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イチゴちゃん、実はそこそこ強いんです笑
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