第305話 強み


 俺の初戦は意外と呆気なく終わっちゃったな。まあ、今回は相性が良かっただけ、というか運が良かった。あんなに真っ直ぐに突っ込んで来られたらそりゃクロスカウンターしたくなるでしょ。


 それと、あの大きな剣はカッコよかったな。大剣っていう部類に入るのかは知らないがとにかく良かった。相手の人はそれをゴツい体で両手を使って持っていたから、俺なら、片手で持ちたいな。明らかに持てなさそうな体で軽々と持ち上げるというギャップがいいのだ。いつか爺さんに作ってもらおう。


 ま、次の試合に向けて準備だな。と言っても次の相手が誰かわからないから対策のしようもないのだが、まあ、どんな相手が来ても良いように準備をしなきゃだ。


 格ゲーで戦う時に最も必要なことはそのキャラの強みを知ることだという。そのキャラの何が強くて何が弱いのか、それを知ることができれば自ずと戦い方も見えてくるらしい。まあ、格ゲーなんてそんなガチでやったことなんてないのだが、自分で戦うのか、操作するのかの違いだからあまり変わらないだろう。


 よし、というわけで自分の強みについて考えよう。俺の強みか……


 そもそも自分が強いかどうかすら分からないからなー。弱くはないと思いたいのだが、強い? って聞かれてすぐさまはいと答えられるほどの自信はないなー。


 そうだなー、考えても思い浮かばないから、俺のスキルの欄をみて考えよう。俺が自分で強いと思うスキル達を軸にして考えればいけるのではないか? イベント向きなスキルとそうじゃないのがあるだろうし、一旦まとめてみよう。さっきの筋骨隆々はたまたま最後の方に選定したスキルだったから覚えてたけど正直最初の方のスキルは覚えてないしな。


 うーん、こうしてみると俺のスキルの多くは対人戦向けというよりかは、大型モンスターとか向けのスキルが多い気がするな。まあ、別に大型じゃなくても良いんだろうけど、とにかく人間よりもモンスターって感じだ。


 だって、パキケファロ頭突きとか人間に当たらないだろうし、そもそも俺が頭突きなんてするところとか見られたくない。それで勝っても頭突きの人だって思われたくないしな。


 対人で使えるものといえば、明烏止風、魔闘支配、麻痺の魔眼、従魔武装、龍宿これくらいだろうか。まだまだ使おうと思えば使えるのもあるが、周りに被害が出るのもよくないしな。爆虐魔法とかどうなるかしれたもんじゃない。


 後は、厭離穢土とか生者必滅とかギロチンカッターとかデスノートとかの一撃必殺系があるんだがそれはイベントで使うのはどうなんだって感じだよな。戦っている感じしないし、俺の手柄でもない気がする。まあ、気持ちの問題だよな。


 そうなってくるとこいつらにいつ日の目があたるかは分からないが、いつか役に立つ日がくると信じている。


 よし、これで軸になるスキルは決まった。後はどうやって使うかだが、次はもう準決勝なんだよな。人数が少なすぎてこんなことになっているが、まあその分出し惜しみしないでよくなるだろうからな。どうせ相手は俺と違ってしっかり俺の戦いを見ているから筋骨隆々は使えないのだろう。


 そうだな、龍宿、従魔武装あたりは決勝まで取っておきたいから明烏止風と魔闘支配と麻痺の魔眼で次の試合は戦おう。これだけあれば勝てるだろう。最悪厳しかったら頭突きを使うことも厭わないぞ。全力で勝ちにいく。


 いや、やっぱり頭突きはやめて、素直に従魔武装使おう。だって頭突きの人とか言われたくないもん。

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