第291話 初めての出会い
領主の協力により、スキル選定人の居場所を知ることができた俺は、とうとうその居場所である灯台の下にまで辿り着いた。研究室の爺さんからその話を聞いてから今まで、地味に時間がかかったような気がする。まあ、大変だった分報われると信じていきますか。そうでもなきゃやってらんねーよな。
灯台の下にやって来た俺は一つの民家を見つけた。うん、灯台はよく見えそうだけどそういう意味であってるのか? ってかそれでいいのか選定人さん?
まあ、本人が気に入ってここに住んでいるのだろうからとやかくは言わないが俺だったら、灯台を自分で立ててその上に住むかな。絶対、下に住むよりは上に住んだ方が良いだろう。だが、これは灯台が大好きという仮定での話だから実際住むとなると、普通に住宅街がいいな。
よし、ではいくか。もたもたしている暇もないし、したくもない。それにどんな人でどんなことをしてくれるのか、凄く楽しみでもある。
コンコン、ガチャ
「すみませーん」
その扉を開けるとそこにはちょっと、いやかなりぽっちゃりした初老の男性がいた。
「ん? 誰だね君は、何処から来のかね? それに……ん? 君、どういうことだ、それはいくらなんでもおかしすぎやしないかい!?」
ん? 俺が戸を開け中に入った瞬間では歓待ムードではなく、むしろ誰だよお前何勝手に入って来ているんだオーラの方が強かったのだが、急に態度が変わってしまった。
何かに気づいたのだろうか、それにどういうことだ、とも言われた。そんなにおかしいと思われるようなことをしただろうか。少なくともこの爺さんが俺を判断できる時間の間に俺が何かしたわけではない。これは確実だ。なんせほんの数秒だったからな。これは爺さんに直接聞いた方がいい。
「え? いくらなんでもおかs
「君! ちょっと私に少しの間時間をくれたまえ。私は許可があればその人のスキルを見ることができるんだが、今まで数多の人のスキルを見てきたからか、初対面の人でもぱっと見でどれくらいの総量があるのかが分かってしまうようになったんだ。
そして、君はその量が異常だ。今まで出会って来た中でも群を抜けて多い。その総量が多すぎて把握できないというのは初めてだよ! 是非私にスキルを見せてくれ!」
おっとびっくりした。俺が話しかけようとした瞬間食い気味に話始めたかと思いきや、全ての疑問点に恙無く答えた挙句、俺にとっても嬉しいことを言ってきた。だが、見るだけで別に選定はしないとか言われたら嫌だから、それを条件につけておこう。
「もちろんいいですよ! ですが私としては選定もついでにお願いしたいのです。実は研究者である私の知り合いが友人に凄い人物がいるから会ってみないか、という話だったので参上した次第なのです。ですから選定までしてくれるのであれば喜んでお見せしますよ」
「ほ、本当かい!? 選定をするくらいで見せてくれるのなら喜んでするに決まってるじゃないか! では、早速見させてもらうとしよ!」
なんかキャラがブレブレな気がする。初めて見るスキルの量に興奮しているのか? それと別に俺からすると喜んでするとは決まってないから、その、聞かなくても分かるでしょ? みたいな雰囲気を出すのはやめてほしい。
「な、なんというスキルの多さ……そしてどれも質が高い! これは選定のしがいがありますぞ! ここまで腕が鳴るのも久方ぶりだな、心躍る選定というのもいつぶりだろうか」
この爺さん、相当喜んでるな。NPCに比べてプレイヤーっていうのはそんなにスキルが多くなるものなのか? これからこの爺さんの存在が明るみに出れば爺さんの待遇も変わってくるかもしれないな。そう考えると、爺さんに初めてというインパクトを与えられたのは大きいな。こうして自ら進んでしてくれるほどだからな。
「ゴホン、少々気がはやりすぎてしまったようだ。選定に際して先ず説明しなければならないことがあるのだ」
説明?
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