第284話 秘められたスキル


 悪魔の心臓、それは諸悪の根源である悪魔のエネルギーを生み出し、蓄えている場所で、更にそこには悪魔の切り札ともいえるスキルが秘められている。


 俺の目的はこのスキルにある。あの爺さんにエネルギーを譲渡することと引き換えに俺はその秘められたスキルを手に入れることができるのだ。


「で、この悪魔にはなんのスキルが内包されているんだ?」


「なにがで、なのかは知らんが、スキルが判明したぞ。こいつのスキルはどうやら【無限魔力】というものらしいぞ。ちょっとこれは強すぎんかの?」


 無限魔力? 超強いじゃねえか、これで俺の魔力問題が完全に解決したも同然だな。俺自身あまり魔力を使う機会がないのだが、それでもたまにはある。そのたまにの時は節約しながらチョビチョビ使っていたのだ。


 それを気にせずに使えるのはかなり大きいぞ。イベントでは俺の魔法も火を吹くかもな。あと、今まで最小限でしか運用していなかった魔気とかも、全力というか無限に力を込められるから、今までのサブみたいな扱いからメインの火力に昇格するかもな。


ーーースキル【無限魔力】を獲得しました。


「【魔力吸収】は【無限魔力】に統合されます」


 よし、これでかなり大幅な強化に成功したな。まさか無限魔力なんてスキルを獲得できるとは思っていなかったがラッキーだった。確かにあの塔にいた悪魔はずっと魔法を撃ち続けていた気がするな。恐らくこのスキルを持っていたのだろう。


「これはいいスキルを獲得したの。相手は初めての男爵級じゃったし、厳しい戦いではなかったか? 無事に心臓を持ち帰ってくれてありがたいわい!」


 あくまでも俺が無事に帰ってきたことではなくて心臓なんだな。まあ、俺がずっと帰って来なかったのも悪いからな。これからはもっと強い悪魔も倒す予定だから心配もしてくれるだろう。決してされたいわけではないが。


 それにしてもこのスキルは俺のゲーム史上でかなりの転換点になったかもな。これからのプレイが非常に楽しみだ。


「よし、この調子でもっと悪魔を倒すのじゃ。今回は良くやったぞ、だがこれ以上の悪魔を倒そうと思ってもより強い悪魔は人間に溶け込むのも上手いのじゃ。だからお主では発見できぬかもしれん。そこで、儂はお主からもらったエネルギーで機械を作ったのじゃ。これを受け取って欲しい」


 そう言って小さな丸い物体をもらった。


「その球は悪魔が近くにいればいるほど強く光るのだ。だから怪しいと思ったらすぐにそれで確認するのじゃ」


 どうやら思ったよりも原始的というか使いづらいんだな。一々確認するよりかは、方位磁石のように方向を示してくれたらいいのに。確認していたら、怪しまれないか?


「いま、面倒臭いとか、そんな近くで確認していたらバレるのでは? とか考えておったろ。そんくらい儂でも分かっておる。ただ、こちらから位置を割り当てようとすると相手にもそのことが伝わってしまうのじゃ。

 つまり、お主が悪魔を見ようとすると悪魔にも見られてしまうのじゃよ。だからこそ徹底的に受動的な装置かつ、簡略化した装置を作ったのじゃ。分かったじゃろ?」


 前も思ったけどこの爺さん、本当にエスパーなんじゃないか? スキルで読心術とかもってそうだ。もしそれがあるなら俺も欲しいな、相手の動きだけでなく心も分かれば心強いことこの上ないよな。


 これでここでのやるべきことは終了したな。まだまだ強くなりたいがどうすればいいのだろうか。この爺さん何か知らないだろうか。強くなるための方法を知りたい。


「一つ聞きたいのだが、俺自身が強くなる為に何かいい方法はあるか?」

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