第283話 感動の再会
防具を受け取った後、俺は武器の製作依頼もしておいた。勿論素材は悪魔の素材だ。これに関しても一ヶ月後と言われたので完成が待ち遠しい。
あと、この防具身につけていると精神が侵されるって書いてあるけど、もしかしたらそのせいで爺さんの様子がおかしかったのかもな。今はもういつも通りに戻っている。さっき素材を受け取った時も何も言ってなかったからおそらく大丈夫なのだろう。
あ、因みに武器というのは剣ではないぞ。流石に三本もいらないだろうからな。お任せでいい感じのを作ってくれと頼んでおいた。何ができるのか非常に楽しみだ。
「よし、」
これでイベントに向けての装備についてはお概ね終了したな。武器に関しては間に合わないことになるがまあ、仕方がない。確か前回イベントに参加した時も双頭白虎の装備が間に合わなくて初期装備のまま出場した気がする。
だから装備は二の次でいいのだ。それに今回は装備も一新しているしもう言うことはないだろう。
イベントまで残り七日、今日を含めなければもう一週間を切っているわけだが、特段何をすればいいのか分からない。帰らずの塔でかなり鍛えてきたとは思うのだが、まだまだ足りないのだろうか、自分が今大体どのくらいの位置にいるか分かるってのはとても良いよな。
それにしても何をしようか。死んでも良いんだがそれだとあまりにも芸がなさすぎるよな。それに粗方の死因で死んでしまったからステータス増加にしか役立たない可能性もあるし、もっと効率が良い強化の方法はないだろうか。
「あ!」
そういえば俺、悪魔を倒したんだった。悪魔を倒したことで俺は心臓を持っている。その他の素材は武器製作のために渡してしまったのだが、心臓だけはしっかり残している。何故なら心臓にはスキルが刻まれているからな。早速それをゲットしに行こう。
武器を作る時に悪魔の心臓を外すことは何故か無意識にやっていたから今の今まで忘れていたが、思い出して良かったな。あの爺さんにも久しぶりに会うな。元気にしているだろうか。
『悪魔討伐を確認、ゲート解除』
ガコッ…………ドサッ
くそ、すっかり忘れてたぜ。この場所は覚えてたが、認証システムの存在はすっぽりと頭の中から抜け落ちていたようだ。確かにここでうまく着地できるように何度か挑戦していたな、懐かしい記憶だ。あの爺さんは元気にしているだろうか。
「ん? なんじゃなんじゃ、久しぶりの来客かと思ったらお主か。長らく会っておらんかったが、どこをほっつき歩いてたのじゃ? お主がおらんせいで仕事が一向に減らず増える一方じゃわい。早く仕事を片付けて欲しいのじゃ」
おいおい、こう久しぶりの再会なんだから感動とかまではいかなくてもいいが、なんていうか久しぶりな感じを出してくれたっていいじゃないか。俺はあくまでもビジネスライクの関係ってか? まあ、俺からしてもそれ以上でも以下でもないがな。
だが、完全にあの爺さんを振り向かせる一言を俺は知っている。
「俺は悪魔の心臓を持っている」
「な、なに? そ、それを早く言わんか! は、早く見せるのじゃ!」
ほらな?
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