第280話 待つ人待たされる人
「お主は一体どこで油を売っていたんだ。ぱっと見の雰囲気ではお主は相当強いはずじゃろ? なんでこれほど時間がかかったのじゃ?」
ぱっと見の雰囲気で人の強さが分かるって凄いな。まあ、それでも俺の場合はこの塔をクリアする過程で強くなったのもあるから、それほどの強さでなぜこんなに? と聞かれても答えにくいのだ。
これほどの強さを手に入れるためにここまで時間がかかったとも言えるし、ここまで時間がかかったからこそ今の俺の強さがあるのだ。あれ? おんなじこと言ってるか?
まあ、詰まる所俺が言いたいのはどうでも良いってことだ。そんなこのタダ飯ジジイ一人待たせることくらいなんの苦痛にもならないし、そもそも爺さんなんて入って数秒したら忘れてたからな。そういうもんだ。
「お主、今そんなことはどうでも良い、みたいな顔をしたの? どうでも良いわけあるか! 儂が何日、いや何ヶ月待ったと思っておる! これはドラゴンステーキ数十枚じゃおさまら
ピロン
「第一回頂上決定戦のお知らせ」
お、なんか来た、ってこれはイベントのお知らせじゃないか。そういえばイベントもあったな。そのためにも強くなろうとしていたんだった。なんかいろんなことが重複しすぎてよくわかんなくなってくるよな。すぐにやろうとしてたこと忘れちゃうし、一個一個確実に潰して行かなきゃダメだなこれは。
よし、まず今から集中するのはもちろんイベントだ。このイベントは頂上決定戦と銘うってある。つまり、このゲームの最強を決める戦いと言っても過言ではないのだ。そう、最強だ。男で最強に憧れない者はいないだろう。それほど強さとは魅力的であり、男の永遠のシンボルなのだ。
そして、俺はなんとその舞台に立つことを許されているのだ。幸か不幸か以前参加したイベントでたまたま優勝してしまったせいだ。だが、この天から偶然舞い降りてきたチャンス、掴まない手はない。いや、掴まなければ男が廃れる。
「えっ」
開催日はなんと一週間後というまさかの急展開だ。以前来たお知らせだとまだあと半年くらい残っているっていう話だったのだが、もうそんなに時間が過ぎてしまったのか?
そりゃ、あの爺さんが怒るのも頷けるな。半年待たされるって相当だな。俺なら絶対帰る。ってか一日でも無理だ。ってか人と予定をして待たされるってどういう気持ちなんだろうな。そりゃ狙って遅刻する奴は最低だが、寝坊したりアクシデントがあったりしたら仕方がなくないか?
うーん、俺はいつもどちらかというと遅れる側だから待たされる気持ちはあまり分からない。でも、待たせる側はそのまま予定に行けるけど、待つ側はイライラした状態でその後の予定をこなすハメになるからな。
うん、結論遅刻はよくないよね!
そんなことよりも来週に控えた頂上決定戦、俺はどんな準備ができるだろうか? 死にまくってステータスアップか? それとも金を貯めて新しいスキルでも買うか?
「あ、」
そういえばなんか塔の攻略途中で装備の製作を依頼してたな。取り敢えずそれにいこう。
「おい、さっきから儂の話を聞いとるのか! 折角儂が話しておるんじゃから話を聞けい! っておい! ちょ、どこへいく! お、おい待たんか! 待て!」
「【韋駄天走】(ボソッ」
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