第274話 全力攻撃
「ギャアアアアアアアアア!!」
暗闇の中から急にホワイトアウトして再び元の視界に戻ったからか、現状を把握するのがかなり遅れた。なんと俺の目の前には竜、つまりドラゴンがいたのだ。こいつはどう考えても竜だ。貫禄が違う。だいぶ昔にリヴァイアサンを倒したがあいつとはまた別格の、王者の風格というものを感じる。
覇気とでもいうべきか、そのオーラに当てられそうになるが、先程の暗闇の中ではっちゃけ過ぎたせいでイマイチ真剣になれないのだ。何故かふざけたいという気持ちが沸き起こってしまうのだ。
こればっかりは仕方のないことのように思えるが、まあいいだろう。こいつを倒せばいいのか。竜とはいかにもラスボスっぽいよな、長かったこの帰らずの塔ももしかしたら終わりかもしれないと考えると考え深いものがあるな。
よし、ならばこいつには俺の出しうるベストを尽くして最強の攻撃をお見舞いしよう。もしかしたらそれでは倒せないかもしれないが、それでも今の俺の全力をこの圧倒的存在であるドラゴンにぶつけたい。では行こう。
「【筋力増強】、【乾坤一擲】、【明鏡止水】、【怒髪衝天】、【花鳥風月】、【魔闘練気】、【不動之刀】、【脆弱化】」
よくよく考えたら、俺の刀での攻撃に合うものと合わないものがあったが、剣での攻撃に限定するとこんな感じだろうか。他にもいい組み合わせがあるのかもしれないが一先ずこれで行こう。
「ふっ!」
「グギャアアアアアアアアアアアア!」
「レベルアップしました」
ーーー称号《竜殺者》
称号《踏破者》を獲得しました。
《竜殺者》‥竜を倒す。スキル【竜纏】を取得。
《踏破者》‥帰らずの塔を全階層クリアする。20SPを獲得する。
【竜纏】‥竜の力をその身に宿す。各ステータスが上昇し、スキル、称号の効果も上昇する。
あれ? もう死んでしまったのか? 竜といえば無尽蔵の体力、みたいなものを想像していたのだが、案外少なかったようだな。
それに、本当にこいつがラスボスだったんだな。とうとう帰らずの塔をクリアしてしまったようだ。最後にしてはあまりにも呆気なかった気もするが、何はともあれこれでやっとこの塔とお別れだ。長かったような気もするし、あっという間だったような気もする。
この塔を通して俺は更なるレベルアップが出来たことは間違いないだろう。それが自分でも実感できる程なのだ。これならばイベントでも期待出来るだろう。
「ん?」
竜が死んだ後に何かあると思ったら、どうやらそれは宝箱のようだった。宝箱を見るといつ何時であっても開けたくなるのが男というものだ。つまり、俺はその宝箱を開けた。
ガチャ
ーーースキル【魔力吸収】を獲得しました。
【魔力吸収】‥周囲から常に魔力を吸収する。
あ、そういえば元々はこれを目標にこの塔をクリアしようとしていたな。すっかり忘れていたぜ。だが、これでもうこの塔に思い残すことは何も無いな。
そう思うと、どこからともなく魔法陣が出現した。コイツともお別れなのか……別に寂しくはないが、まだ続くんじゃないかと思ってしまう。次はどんな階層だろうか、と。もはや条件反射のようなものかもしれないな。
では、最後の魔法陣、行きますか!
「……いや、ちょっと待て」
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