第271話 最終奥義


 どうやら最終形態は龍化状態らしい。当たり前だが、俺の龍化状態を人の状態から見たことがなかったからスケールの大きさにビックリしている。龍ってこんなに大きかったのか、これは確かに強そうだな。


 相手がそうくるなら俺ももちろんするぜ、


「【龍化】!!」


 そして、そのまま流れでスキルを発動していく。


「ギャギャギャギャー!(【思念の頭突き】と【ロケット頭突き】ー!)」


 一瞬で相手の体に俺の頭をぶつけた。自分の体の質量も大きくなっているから、かなりのエネルギーが生み出された。ロケット頭突きで圧倒的速度を生み出し、思念の頭突きで体の髄にまで攻撃する。このダブル頭突きコンビは最強なのだ。決してネタスキルではないぞ?


 相手も完全に虚を突かれたのか何もできずに攻撃を食らった。そしてそのまま俺は相手の体を食っていく。俺の龍化といえば相手の体を食べてこそだろう。相手もでかいが、相手がいくら同じように食らいついてきたとしても、先制攻撃をくらわせた俺のほうに物理的な勝機があるのだ。


 実際、この姿になってしまうと陸上でできる行動はそれほど多くないのだ。それこそ頭突きと食べることくらいだ。そしてそれを速攻で行った俺のほうが分があるってことだ。この姿を一番使い慣れているのは俺だからな。扱い方で引けをとるわけにはいかない。


 ただひたすらに食らいついていると、気づいたら、


「レベルアップしました」


ーーー称号《克己者》を獲得しました。


《克己者》‥自分に勝利する。スキル【分身】を獲得する。


【分身】‥自分と同じステータスの分身を召喚する。一度攻撃を食らうと消滅する。熟練度に応じて呼び出せる数が上昇する。


 お、倒せたようだな。安定のレベルアップと称号も獲得したな。絶対に克己の意味間違っていると思うが、気にしないでおこう。


 それにしても最終形態が一番あっさり終わったな。まあ龍化は本当に俺の奥の手だからな。ここぞという時にどうにかできないといけないのだ。


 それよりも気になるスキルをゲットしてしまったな。勿論、分身だ。分身もさせてくれるのかこのゲームは、分身に関していろいろ気になることあるよな。例えば一人ジャンケンはできるのかとか、記憶は共有できるのかとか、いろいろなことを検証してみたいよな。


 まあ、帰らずの塔を出るのが先だな。俺の目の前には魔法陣が出現している。これで次の階層に行けるな。ただ、今回の階層は自分との戦いで今までのとはかなり毛色が違った。だからもうそろそろ終わりかもしれないな。


 よし、では行くか。もう何度なのかも分からないし、どうでもよいがこの技術というか魔法はどこからのものなのだろうか。帰らずの塔が大昔からあるとすれば、それは凄いことじゃないか? いわゆるオーパーツ的な感じなのかもしれない。


 そんなことを考えていると、ホワイトアウトが終わるとそこは真っ黒な世界が広がっていた。

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