第264話 真実と報酬
しっかり謝った後に婆さんから詳細な話を聞いた。
実は孫は親を恨んでいたとかではなく、あまりにも強すぎる力に母体が耐えきれずに死に、その体を支える為に力を与えていた父親も死んだらしい。それを幼い頃に知った彼は自分のことを親殺しだと思い、周りからもそういう目で見られ、次第に孤立していくようになった。
彼が両親を殺した事実はあったが、別に誰が悪いということでもなかったのだ。悪いのは真実を知らない無知な周りの人だったということだな。
「今回はありがとね、まさかこんなことになるとは。うちの孫は両親を自分のせいで亡くしたと思っちゃってね、周りの人達にひどく反抗してきて、今のあの子があるようなもんでね。それに、以前の私がそれなりに強かったことも原因の一つだろうさね。かなりのプレッシャーだったと思うんさ。
だが、それも両親が生き返ってしまった今ではもうないだろうさね。今までは生き急いで、いつ死ぬかわからないようなことばっかりしていたし、今回は流石に死にそうだったからね、あんがとさん」
そうだったのか……ってか、この婆さんなんかどんどん訛りが酷くなってないか? 最初はそこまでなかったと思うが、いつからだ?
まあ、いいか。それよりも報酬を貰おう。
「では、これで仕事内容はクリアということでいいんだな? それならば報酬を頂こう」
「まあまあ、そんな慌てなさんな。分かっているさね、本当は話し合うなりお前さんの力を見せつけるなりしてやめさせる予定だったのが、両親を生き返らせてくれたんだ、少しは色をつけさせてもらうよ」
お? これは報酬アップってことか? きたぞこれは。俺は、俺が説得するよりかは自分が殺した相手に言われた方が説得しやすそうと思って、楽をしようとしただけなんだけどな。結果的に最善手になったようで、万々歳だな。
もともと、報酬は吸血鬼に伝わる秘密道具と奥義だったはずだ。これだけでも十分すぎるのにここに加えて更に追加してくれるなんて太っ腹だな!
「先ずはこれさね、吸血鬼に伝わる秘密道具、闇夜のマントさね。これは装備の上から着れるアクセサリーみたいなもんで、夜につけると、人に見つかりづらくなるんさね、他にも闇魔法系統の威力が上がったりと、持ってて損はないさね」
おぉー! かっこいい! 漆黒に少し青みがかった、いい感じのマントだ。マントなんて正直ダサいのではと思ったが、これを見ると何も言えないな。確かにヴァンパイアのきているマントってかっこいいもんな。
「お次は私たちの奥義さね、これは上手いこと使いこなせばかなり使えるさね」
ーーースキル【鋭俊剛血】を獲得しました。
【鋭俊剛血】‥自らの血、もしくは他人から奪った血を操って攻撃する。この血は時に鋭く、時に速く、時に強い。血の量によって属性の強さ、数を変更可能。
おー、これはかなり凄い。今のところ俺には誰かの血を入手できる手段はないが、それでも強いだろう。ただ、一つ懸念点があるとすれば、この血はどこから出てくるのかということだ。口からとかならまだマシだが、変なところから出るのだけは勘弁して欲しい。
「これだけでも十分凄いと思うのだが、更にこれ以上があるのか? 本当にもらってもいいのか?」
「なんだい? いらないっていうのかい? いらないのならあげないさね!」
「いや、いります! ごめんなさい!」
反射的に謝っていた。流石に追加報酬は欲しい。
「別に奥義よりも強いってわけじゃないが、これが相手の血がないと弱いまんまさね。ということで【吸血】を上げるさね」
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