第246話 ういじん
アイスの能力を調べがてら、ついでにこの階層もクリアしてしまおう。アイスがどれほど強いのかは未知数ではあるが、どれくらいの強さでもいいのだ。最悪強制進化という手もあるからな。
そんなわけで再びあの建物に戻ってきたんだが、今はあの階段にいる。ここが分かれ道となった場所だな。一階は粗方倒したと思うから二階からスタートか。ではアイスの初陣、初舞台だな。盛大に盛り上げていこう。
「アイスー!」
俺がそう呼びかけると、アイスが召喚された。首を傾げて、どうしたの? とでも言いたげな愛くるしい表情をしている。アイスの見た目は大きいのが一つの特徴なのだが、毛並みは全体的に綺麗で薄く水色がかっている。
ベースは灰色の毛なのか、普通に灰色だけの毛もあるが、とても綺麗だ。アイスも普通の犬なんだから、トリミングとかしないといけないのだろうか。まあ、それは毛がボサボサになるくらい生えてきたら考えよう。ゲームのファンタジー仕様で毛が伸びないかもだしな。
『アイスー、聞こえるかー?』
しょっぱなから念話が使えるのは非常に便利だな。意思疎通のしやすさが格段に上がる。俺がそう呼びかけると、
『きこえるよー!』
声も可愛いくて癒されるな、性別的には男の子だろうか。現実世界で言うとどのくらいの年齢になるのだろうか、四歳か五歳程度だろうか。もし仮にその年齢でこの大きさならば大人になったらどれほど大きくなるんだ? 見上げないといけなくなりそうだな。
『よしよし、いい子だぞ。じゃあ、今から悪者退治に行くぞ、悪いことしてる奴をアイスの手で倒すんだ!』
『わかったー! でも、できるかわかんないよー』
『大丈夫だ、俺がいるからな。アイスが危険になることは決してないから安心して戦って欲しい。魔法とかの使い方はわかるか?』
『うん! なんとなくこーすればいいかな? ってのはわかるよー! じゃあ、こわくなったらごしゅじんさまがまもってねー!』
うん、喋れるようになった赤ちゃんみたいな言葉遣いで少したどたどしいが、それでもしっかりと会話できている。いい感じだ。
それに、直接的な戦闘は厳しいだろうから、魔法が使えるか聞いたんだが無事使えそうで良かった。氷魔法だろうから、ちゃんと育てれば化ける可能性も秘めている。ワクワクしてきたな、早速戦わせてみよう。
「【気配感知】」
よしよし、近くに一人だけの反応があった。まずは、試運転としてコイツで試し撃ちだな。思いの外強かったり弱かったりするかもしれないからな。
『アイスー、あの人悪者だからあいつを倒してみようか。魔法撃てるか?』
『うん、わかったー! あいすわるものたおすー!』
『【あいすこふぃん】ー!』
ピキピキピキピキッ
アイスが魔法を放つと敵は俺らの姿を捉えることすら叶わず、氷の彫像と化してしまった。スキル名はおそらくアイスコフィン、氷の棺だろう。つまり、相手を氷の中に閉じ込めるという技なのだろう。
スキル発生から、相手を閉じ込めるまでのスピードも速かったし、閉じ込めてしまえば確実に相手を仕留められる。恐らく座標指定型でスキル発動後に避けられたら外れるのだろうがそれでも強い。不意打ちなら確実だし、慣れてきたら相手の避ける先に攻撃を置いておくことも出来るだろう。
あれ? 強くね?
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