第245話 メイメイ


 そして、犬の番になって問題が発生した。犬は体が大きく運ぶのが大変そうだったため、後回しにさせてもらったのだが、まず地上へと運ぶのはなんら問題は無く、それほど抵抗なしに運ぶことが出来た。しかし、地上に着いてからが問題だったのだ。


 犬を地上におろしても、そこから動こうとしなかったのだ。この犬は大きいがまだ子供なのか引っ込み思案で大人しいし、なにより甘えん坊だ。俺の足元にピッタリくっついて離れようとしない。


 犬を無理やり遠くの方へ置いて、俺が穴の方へ戻ってきても付いてきているのだ。どうしても俺から離れたくないようだ。


 え、何こいつ可愛い。


 俺から離れたくない理由でもあるのだろうか。帰り道が分からなかったり、まだ子供なのに親がもう既に居なかったりとか、実際子供かどうかは分からないが。あとは単純に俺のことが気に入ったのか。他に考えられるとしたら、このモンスターの特性として誰かに付いていく、みたいなのもあるかもしれない。いや、流石にこれはないか?


 あ、もしかしてお腹が空いているだけとかか? といっても食料なんてものないからなー。人肉ならすぐに調達できるけどそんなもの食べたくないだろうし、食べさせたくもない。


 まあいいか、それより折角だからあやしてあげるか。俺は今までペットなんか買ったことないから、ペットの犬とかには少し憧れていた。でも、どうしても自分より先に死んでしまうことを考えてしまうと飼うことが出来なかったんだよな。ペットを置いて自分だけが死ぬのも嫌だし、根本的に俺にペットという存在が向いていないのだろう。


 ただ、動物とかは普通に好きだし可愛いとも思う。今、目の前にいる犬もとても可愛いし愛くるしい。俺が頭や喉を撫でてあげると気持ち良さそうに目を細めてリラックスしている。やはり可愛いな。


「アイシクルパピィが仲間になりたそうにこちらを見ています。従魔に加えますか?」


 お? なにか来た、って本当に仲間になりたかったんだな。俺も最悪服従しようかなと思っていたから、自分から来てくれたのは嬉しいな。


 それにしてもアイシクルパピィっていうのか、ってことは氷系統の攻撃をするのか? だったら、俺やハーゲン、ホネズとも被らなくていいな。てことは、俺が爆弾で火、ハーゲンが黒雷で雷、スカルボーンは木、アシュラは物理でなかなかバランスが良くなってきたな。


 火山に行く時や、前のマグマの階層に行った時は水系統の属性が欲しくなるからなー、これ戦力てきにみても大きいいぞ。手札が多いってことはそれだけで自分に有利な展開に戦闘を進められるって事だからな。


 返事は勿論、はいに決まっている。


「アイシクルパピィを従魔にしました。名前をつけますか?」


 名前かー、俺にネーミングセンスを問われてもなー。直感的にアイシクルだから名前にアイの二文字を入れたいと思ったのだが、それで短くて呼び易い名前になると……


「よし、お前の名前はアイスだ! これからよろしくな!」


 すまん、正直これ一択だった。普通にいい感じだし呼びやすく、何より代案が何も思い浮かばないのだ。ならばこれでいくしかない。まあ、そんなに悪くはないよな? 文句があるなら直接俺のところまでこい、爆散させてやるっ!


 名前をつけられたからか、とても嬉しそうな様子のアイス、なかなか可愛いぞ。


 これからは俺の元で精一杯頑張ってくれよな。


 よし、では早速アイスの能力テストといこうか。近くにちょうどいい敵もいるからな。アイスにどれほどのポテンシャルがあるのか測ってみよう。


 ではこの階層もクリアしちゃいますか!

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