第244話 動物のターン
ここにいる動物達で一番獰猛そうなのは、どう見てもライオンだ。毛並みが白いライオンもいるんだな。ってか、俺の今の装備元でもある、ホワイトタイガーよりもなんというか威厳があるな。
ってか、これはホワイトタイガーにも言えることなんだが、なんで白くなっただけでこんなにかっこよくなってしまうんだ? それにライオンも虎も元々かっこいいのに、それに加えて気品とともに白衣を纏っている。
俺も真っ白な装備にすれば良かったかな? 多分次の装備は真っ黒な気がする。まあ、気分転換として捉えよう、ずっと同じ装備だと飽きるしな。
おっと随分と話が逸れたが、一番この獅子が獰猛で危険なのだ。檻をガシャンガシャンとするのもこいつの仕業だったことが判明したし、こいつは外に出した瞬間自力で生きていけそうだな。
逆にそれとは対照的に、図体だけは大きい犬がいる。体がしっかりしているから、戦闘も上手くいけば強そうなのだが、短い間だが今見てると凄い臆病のようだ。
俺が来た時も部屋の一番奥の隅で丸まっていたし、俺が他の動物に意識を向ける素振りを見せても一向に警戒を解こうとしない。ここにきて酷い思い出でもあったのだろうか。人間に対してトラウマがあったせいなのかもしれないな。
他の三匹はどちらかというとおとなしめだ。恐らくモンスターにはしっかりエサを与えているのだろう。だから、そんなに反抗的ではないのだろう。
よし、観察はこのくらいにしておいて、早速放ってやるか。特に白ライオンは出たくて出たくて仕方ないだろうし、他の動物達からもお前誰だよ、エサ寄越せよっていう雰囲気が滲み出てきている。
餌は自分で確保してくれ、俺はその為に協力してあげるだけだからな。
あ、そうだ。ここでモンスターを出すんじゃなくて、檻ごと運んでそのまま地上に持っていこう。そうすれば、無駄なリスクを冒さずに安全に運べる。あと、モンスター側の安全もあるしな。もし握り潰してしまったら後味悪すぎる。
そんな訳で檻ごと地上に運ぼうとしたのだが、檻ごと運ぶって意外と難しいな。普通に壁に格子とかが取り付けられているから、それだけで独立していないのだ。だから取り外すこと自体は簡単なのだが、その時点で檻としての機能を失ってしまうのだ。まあ、よくよく考えたらそうだよな。
壁ごと壊すことも出来なくはないが、面倒臭そうだし、誰かにバレても嫌だからな。よし、普通に運ぼう。どうせ死なないし、ひょんなことで死んでもまた来ればいい。
最初は一番強敵そうなライオンだな。檻を剣で切り刻み、侵入する。ライオンは警戒して威嚇をしてくるがまだ何もしてこない。俺はそーっと近づき、取り押さえることに成功した。
逃げ回るかと思いきや、普通に捕まってくれた。もしかして、檻を壊した時点でライオンからの評価が改善されたのかもな。
そして地上に届ける、勿論巨大化した。放す時にしっかり回復させるのも忘れなかった。そして、地面にライオンを置くと一目散に走り出したのだ。元気そうで何よりだ。俺に殺されないようにあまりヤンチャなことはしないで欲しい。
次に草食動物のお二方、馬と羊だ。両方同時にいきたかったが、馬のせいで厳しかった。大きすぎたのだ。だが、特に言うことなく終わってしまった。二人とも駆けていったし、もう大丈夫だろう。ライオンには食べられないよう気をつけて欲しい。
続いて猿。こいつの顔は何故かムカつく。ニヤニヤしており、こちらを馬鹿にしているような印象を受ける。こいつは助けなくて良い気もするが、それは可哀想だし地上に運ぶだけだから流石にしてあげる。
コイツにイライラして意趣返しをしても良いのだがそれをしてしまうと俺まで同レベルにまで落ちてしまうからやめておく。俺は大人なのだ。
最終的にコイツを上に運んだ時には最後にぺこりとおじきをして足早にどっかに行ってしまった。根はいい奴なんだろうけど、捻くれたツンデレな小学生みたいだな。そう考えると俺も老けたもんだな。
そして、最後の犬なんだが、ここで問題が発生した。
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