第228話 警察体


 ちょっと、ここ最近一対多数多くないか? とりあえず数を増やせば良いってもんじゃないぞ。こっちの心理面も考えてくれよ。


 まあ、こう言う風に心理的に追い込むのが目的なんだろうが、それにしてもやりすぎなのでは、と思うぞ。


 それにしても、次々にドローンが集まってきて、網を発射してくる。網にかかったら、動きを制限されるからなるべく避けるのだが、避けてばかりだとドローンを破壊出来ずに更に仲間を呼ばれる。


 また、時間差で攻撃してくるため、避けなければいけない網と、食らっても良い電磁攻撃、そして食らったらどうなるか怪しいエネルギー砲、これらが、次々にバラバラにやってくるため頭がはちきれそうだ。


 電磁は頭の中から排除しようとしても、無意識の内に体が反応して避けてしまうこともあるし、エネルギー砲を電磁と間違えそうになることもある。結構鬼畜だぞこれ。


 エネルギー砲を撃って仲間を呼んだドローンはまた一から網を放ってくるからなおのこときつい。これは一体目を確実に処理しなかったせいだな。あそこで完封できていたかもしれないのにな。


 拳や剣だけでは到底追いつかず、分割思考で魔法を撃ち始めると少しは楽になったが、それでも俺のか細いMPでは処理スピードにも限界がある。


 くそ、一瞬だけでもこいつらの動きを止めて落ち着きたい。刹那でも時間があればどうにかなるのに……


 動きを止める? 刹那? 


「あっ、【麻痺の魔眼】!」


 なんとか魔眼の存在を絞り出して、すぐさま発動、俺のMPでは一瞬も止まってくれないが、その零コンマ何秒の隙で十分だ。


 高速思考、ゾーン、を発動していた俺は、各種バフスキルを分割思考を使うことで一瞬で発動し、韋駄天走からの……


「【藕断糸連】!!」


 ズババババババンッ!


「ふぅ、あっぶねー」


 このスキルのことも忘れてたぜ、このスキルは一対多の時は本当に優秀だな。一呼吸の間だけだから、本来はきついのかもしれないが、俺はいくらでも息を止められるってことに気づいたからな。


 なかなかハードだったが、なんとか凌ぎきったな。それにしても、何もしてないのにこの仕打ちはやばいだろ。何だこの世界は、ディストピアかなんかか?


 でも、市街地は普通に発展してるっぽいが、いや、でも市民が見当たらない。これはなんなんだ? 全く見当がつかないぞ。


ガシャガシャ


「暴動者ヲ発見、犯罪者対応プログラムA、逮捕、ヲ執行シマス」


 声がした方を振り返ると、そこには人型のロボットがいた。


 おいおいおいおい、まじで言ってる? ってか俺、侵入者から暴動者にランクアップしてるじゃねーかよ。まあ、確かにこの現場を見たらそうなるか。


 という訳で俺は何もしていない、という言い訳が使えなくなったのか。小癪な手段を使いやがって、それがお前らのやり方か!


 しかも、その逮捕って攻撃地味にウザいぞ。さっきのドローンの拘束は網を放つだけだったが、今回は両手両足に向けて手錠のようなものが高速で飛んでくるのだ。


 試しに、ドローンの残骸を捕まらせてみると、捕まった瞬間互いに引き寄せられ、ガチガチに固定された。そう、まるで手錠みたいに。これを両手両足に向けてかなりの速度で発射して来るからなかなか厳しいぞ。


 外れても撃ってきたが、三度目の逮捕を躱すと、


「反逆ノ意思ヲ確認、犯罪者対応プログラムB、機能奪取、ヲ執行シマス」


 まあ、そりゃあ、お前もA、Bってあるよな。それにしても機能奪取か、一体何をして来るんだ?


 そう気構えていると、目の前の人型ロボットはガスを噴出し始めた。淡く紫がかっている。ってことは、毒ってことか? なら大丈夫だな。

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