第227話 一難去ってまた一難
「ふぅ」
なんとか全部片付ける事が出来たな。まさか最後の最後で飛ばした分のツケが回ってくるとはな、やられたぜ。この階層、帰らずの塔一の傑作じゃないか? クリアしていて、とても楽しかった。
そして、ようやく次の階層にいけるな。それにしても、今までで一番大きな魔法陣じゃないか? 俺一人だから、もう少し小さくても良いのにな。
そんなことを考えていたら、いつのまにか風景が変わっていた。
「ここは……?」
なんだここは、どうやら屋外のようだ。とても晴れやかな天気で雲一つ無い青空が広がっている。ただ、その綺麗な青のキャンパスを引っ掻くように幾つもの高層建築物が並んでいる。
しかもそれらは、現代の日本で見るような高層ビルとは違い、独特な形をしているのだ。ビルというよりは、タワー型といった方がいいのだろうか。先端に行けば行くほど、高くなればなるほど、細くなり、天に突き刺すようなフォルムになっている。
それに、特殊な点はそれだけではない。ここを都市と捉えるならば、絶対に必要な道路や線路が全く見当たらないのだ。
今、日本では車ではなく公共交通機関を使う事が奨励されており、車の所有率はこの近年で大きく下がっている。
とは言っても、車を未だに持っている人も一定数はいて、道路も車が通っている。
だが、それがここには一切無いのだ。それに今の日本の中心である、リニアの線も一切無い。もしかして、以前の地下鉄のように地下に全て埋まっているかもしれないが、それでも違和感しかない。
もし、ここに人が住んでいるとして、その人達はどのような生活を送っているのか気になるな。日本と全く違う発展をしてきた訳だから、非常に気になる。
そんな風に見慣れない景色を俺が興味深そうに眺めていると、
「侵入者ヲ発見、防犯プログラムA、拘束、ヲ執行シマス」
バシュッ
いきなりドローンが飛んできて、いかにも機械音声的な声で、しかも日本語で、物騒な事を言って俺を網で拘束しようとしてきた。いやいやいや、流石に手荒すぎやしないか? 俺が善良なただの観光客な可能性もあるだろ。
まあ、だからと言って、俺は見す見す捕まってやることはしないけどな。流石に避けるぞ。すると、
「抵抗ノ意思ヲ確認、防犯プログラムB、無力化、ヲ執行シマス」
ズバン!
スタンガンの五十倍くらい強そうな、電撃砲? のようなものが発射され、俺に直撃した。俺は電撃無効があるため、一切効かなかったが、それにしてもいよいよやばくないか? 何もしていない一般の観光客に向かってそんな物騒なことするとか、さては観光収入の大切さを理解していないな?
「対象ノ無力化二失敗シマシタ。防犯プログラムC、排除、ヲ執行シマス」
キュイーン、ッドーン!!
いや、そこまでする? 俺何かしたか? 人、数人殺した? そんな勢いだぞこれ。防犯プログラムCでやっていいものじゃない。ビームのような、エネルギーを圧縮して放ってたぞ。こんなことドローンにやらせていいのか?
「対象ノ排除二失敗シマシタ。防犯プログラム不能、タダチニ応援ヲ要請、タダチニ応援ヲ要s
グシャ
流石に応援を呼ばれるのは面倒臭いし、話が違う。一対一だからいいんだよこう言うのは、複数囲まれると流石に厄介になりそうだ。それだけは避けないとな。
「「「「侵入者ヲ発見、防犯プログラムA、拘束、ヲ執行シマス」」」」
まじか、もう手遅れだったか。軽く十体位は集まっている。これを切り抜けるのも一苦労だな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます