第213話 最後の難関


 最後の難関、それは一本道のど真ん中に居座っている、トカゲに羽が生えたようなモンスターだ。ドラゴンじゃね? って思うかもしれないが、そんなカッコ良くはない。


 本当に、ただ羽をトカゲに付けただけっていう感じなのだ。だが、それは弱そうということではない。普通に体は大きいし、貫禄もある。


 さて、これをハーゲンがどう対処するのか見ものだな。パッと見、火を吹いたりしてるみたいだし、意外と強敵かもしれないぞ。それにハーゲンは障害物競走をしている最中だからな、どれだけ羽つきトカゲに意識を割けるか……


 ッドーーーン!!!


「え」


 一応の為、俺も攻撃態勢に入り、やれるよう準備をしていたのだが、ハーゲンは全く意に介することなく、黒雷、ブラックサンダーを落とし、そのまま駆け抜けていった。


 うん、やっぱりハーゲンは優秀だな。俺が心配する必要もないんだな。我ながら良い従魔を持ったものだ。主人としても鼻が高いぞ。


 まあ、たまに俺に花を持たせてくれればいいし、ハーゲンでは無理な相手が来たら俺が出るし、最悪、呼ばなければいいのだ。だから、存分に戦って欲しいな。


 あ、そのままハーゲンは次の魔法陣に辿り着いたようだ。まあ、大体のギミックは分かったからいいか。これをクリアしようと思うと大変だな。まあ、次来る人達には是非頑張ってもらいたいな。


 俺も、ハーゲンが誤って行ってしまう前に俺も早く向こうに行かないとな。ラヴァマンにはここのモンスター達と仲良くなってもらって、楽しく過ごして欲しいな。また会う時はお互い成長しているといいな。


 よし、では行くか。次はどんな階層なんだろうな、それよりこの塔は一体どこまで続いているんだ? 師匠が待っているらしいけど、まあ、散々死に戻りもしたし、今更か。ゆっくり行こう。


 俺が魔法陣に入ると、視界がホワイトアウトし、次の瞬間、俺は立っていた。崖の目の前に。


 ……これは、登れということか? 首を真上に向けなければいけないが、それでもどこら辺が頂上かわからない。しんどいな。


 これを一から登るのは論外として、天駆を使っても階段登るみたいなもんだろ? それも嫌だな。よし、


「ハーゲン!!」


 って、横にいたわ。そういえば俺よりも先にゴールしたんだったな。圧巻の走りを見せてくれてありがとうな。多分学校の運動会でそれやると、歓声が上がるか引かれるかのどっちかだろうけど。


 よし、馬鹿正直に登る必要もないし、優雅にハーゲンに乗って飛んでいきますか。ハーゲンなら安定するし、速いしで楽だろうからな。久しぶりにハーゲンに乗る気がするな。特にキメラになってからは少なかった気がする。お前の本職の力見せてくれよな。


「うわっ!」


 やばい、以前と推進力が段違いだ。前と同じ感じだと思っていたから、少し驚いたな。にしても、スピードが速いな。どんどん加速していく。もし、助走とかさせていたら一気にトップスピードにいけてたかもしれない。


 それにしても、分かっていたことではあるが、予想以上だな。こんなにも速くて安定しているとは、これからの移動は全部ハーゲンでもいいかもしれないな。なによりとても楽なのだ。


 そうやってぐんぐん上がって行くと、周囲が騒がしくなってきた。どうやら今回は歓迎されていないみたいだな。魔法やら石やら武器が放たれてきた。


 敵を確認すると、崖や空中に小さな悪魔みたいなモンスターがたくさん犇いていた。正直に言って、気持ち悪いな。ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべており、一発殴りたいぞ。


 ちょっとハーゲン、一緒にこいつらしばこうぜ。

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