第201話 首領
ーーー称号《巨人に認められし者》
称号《首領》
《巨人に認められし者》‥巨人に認められ、交流する。雲の上に乗れるようになり、スキル【巨大化】を取得。
《首領》‥自分の眷属、従魔に対して、命令が効きやすくなる。尊敬、憧れ、畏怖を力に変える。スキル【限界突破】を取得。
【限界突破】‥自分の体力が一割未満の時に発動可能、全ステータスを1.1倍にする。
うわー、多いな。でも、巨人に認められし者のお陰で、ここにいる分には不自然じゃなく過ごせるようになったな。そして遂に、俺は雲の上に乗ることが出来る!
ずっと天駆発動していたからな、ようやく地に足ならぬ、雲に足付けることが出来るな! どんな感触なんだろうか、早速巨大化して、立ってみよう。
「【巨大化】」
一瞬で巨大化して雲の上に立つと、周りから歓声が上がった。本当に俺が首領になっちゃったみたいだな。面倒臭そうだから嫌なんだけど。よし、首領代理を立てよう。そうすれば、俺は何もしない名だけの首領になれるな!
まあ、実際問題として首領になってもここに来ることが出来ないからな。ここを出たら、帰らずの塔からは来ることが出来ないし、この世界のどこかにはあるのかもしれないが、何処にあるのかも知らないからな、いつかまた来れたらいいな、旅を続けていたらその内見つかるだろう。
「ここの巨人の中で一番強い奴は誰だ?」
俺がそう尋ねると、男どもが一斉に自分だと主張し始めた。騒がしいな。
「なら、俺に勝てる自信のある奴は?」
すると、一瞬でシーンとなり、物音一つ聞こえなくなった。まあ、いいや。でもどうやって選べばいいんだろうな、首領代理。案外女の方が良いみたいなことないのか? 男どもは血気盛んで、戦いのことしか頭になさそうだからな。母性溢れる、優しい人、そんな人が居ればいいんだけど、都合よくいるわけ……
いた。
「今日から、この人に首領代理を務めてもらう。この人の言う事を必ず聞くように! それと、君は争いが起きたら公平な判断を下すんだ。難問にぶつかったら、皆と話し合って解決する。話し合いで解決できない時は俺だったらどうするか考えて、行動してほしい」
その女性は怯えながらも頷いてくれた。責任は重大だが、俺が責任を持つことが出来ないからな。頑張って欲しい。
よし、次に行こう、っとその前に魔法陣を探さないとな。何処かにあるのか? キョロキョロしてたら、さっきの女性が俺をクイクイと引っ張り、指を指した。その指先は、俺が入ってきた門でその奥に薄ら魔法陣が顔を覗かせていた。よく見えたな、この人。
「ありがとう」
巨人、面白かったな。みんなアホだったしな。あ、そういえば最後にあの門番に聞いた話によると、巨人が着ていたスーツは前首領が何処かへ行った時にスーツが気に入り、皆んなに着せたらしい。なんとも迷惑な話だよな。
まあ、謎が一つ解決して良かった。これで心置きなく次の階層に行けるな。
「よし、行ってくる」
皆んなに見送られながら俺は魔法陣に入った。再びここに来ることを誓って。
そして、次に俺の視界が捉えた光景は……洋館だった。
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