第194話 必殺技
再びこの場所に戻ってきた。ほんと、ただの現実世界と見間違える程、精巧な作りだ。ゲームの世界って感じがまるでしない。ただ、人気が一切無いのだけが、一つの違和感ではあるな。学校行くときに、登校している人が自分以外いなかったら、結構焦るよな。まあ、そんな感じだ。
気配感知を使っていると、不意に反応が増え始めた。来たようだな。ここからが長いが、まずは一歩ずつだな。俺は持久走とか大っ嫌いだからな、精神的にくるものには向いていないのだ。
もう、グダグダ言わずにやるしかねえな。んー、とりあえず、俺が飽きるまではやるか。俺は、ゾンビを的確に処理していく。ゾンビは心臓を突き刺しても死なない、死ぬのは、首を吹っ飛ばした時だ。だから、頭が弱点かと思い脳天をぶち抜いても、死ななかった。だから、俺はただひたすらに首を刎ね続けた。
はい、もう飽きました。ただいま、第三波が終わったところですね。まだ新技は使ってない。最大限にカッコ良く、そして多く倒せる時に使いたいからかな。わかりやすく言うならば、スライムの時ではなく、魔王の時に大技を使いたいってことだ。達成感もまるで違うしな。
そういうわけで、俺は従魔達と交代した。いつもバトルジャンキーの従魔達も、もう散々なのだろう。ゾンビの前では少し大人しめだ。ただ、俺の戦闘スタイルをどこかで見ていたのだろうか、全員首を集中的に狙っている。俺のを見ていたのではなく、普通に俺みたく戦闘中に試行錯誤して見つけ出しただけかもな。
今は第七波だ。そろそろ疲れてきて、被弾も目立つようになってきたな。そろそろ、俺の新たな力を見せつけるか。
「【メガヒール】」
並列思考で二体同時に二回でかけた。うん、傷はしっかり癒えたみたいだな。バッチリだ。ただ、スカル、ボーン、アシュラはそれでもいいが、結構魔法を乱用しているハーゲンの為にMP回復用のスキルも欲しいな。
だが、HPだけでもかなり効果はあったようだ。全員動きが見違える程良い。もう、これなら最後までやってくれるんじゃねーの。こりゃ楽だ。従魔最高だな。
はい、私参戦します。今、ちょうど九回目が終わったところで、本当に十回目まで行きそうだったからな。俺も折角の新スキル試してみたいし、何より、待つことにも飽きてきたからな。よし、第十波、戦闘開始だ。
まずはまだ、そんなに数が多くないから、普通に剣で斬っていく。すぐに、道がゾンビでいっぱいになるから、その時に発動しよう。ここで使うよりも開けた所で使った方がいいのか? んー、いや、ここでいいか。どっちに行ったら開けるかも分からないからな。それならここで斬ることに専念した方が良さげだ。
よし、もうかなりのゾンビが集まってきて、いい感じにゾンビパニックになってきたな。では、そろそろ使いますか。
「【千本桜】!」
俺が唱えると、俺の周りに無数の花弁が出現し、そのままゾンビたちの元へ向かっていった。向きも自在に操れるし、並列思考を使えば別々の方向にも分けることが出来る。うん、はっきり言って、とても使いやすいな。
威力の方はどうかと思い、ゾンビ達の方にも目を向けると、そこには凄惨だが、美しい、グロテスクだが、ノスタルジックな光景があった。小さな花びらは、ゾンビ達に降り注ぎ、肉片を散らしていく。ゾンビさえいなければとても美しいのだろうが、ゾンビがいることで花弁の美しさが一際輝いている。
このスキルはとても良いな。強いし、美しいし、何も言うことがない。あの爺さんはとても惜しいことをしたようだな。まあ、俺が良い感じに使うから、安心して欲しいな。
あんなに苦しかったゾンビパニックが、頑張って頑張って食ったゾンビパーティが、嘘だったかのように簡単にゾンビが溶けていく。もうほとんどゾンビもいないな。最後はこれで締めるか。
「桜吹雪」
花弁が向かう方向を一つにし、圧縮して密度を増す。そうすることで、斬られているはずなのに、殴られている、という状況を作り出す。千本桜の必殺技だ。
あ、因みにこの必殺技は俺考案だ。
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