第192話 感染
【従魔武装】‥従魔を身に宿すことで、自身を強化する。従魔によって、強化の性質は異なる。
なんか急にゲットしたが、気づくとそこは、街の広場だった。どうやら、俺は死に戻りしていたらしい。ログを見てみると、状態異常の感染、で死んでいたらしい。
「え?」
ちょっと待て、今、無意識に現実から目を背けようとしていたが、俺は死んだんだよな? と言うことは、勿論、またあのゾンビ達を倒さないといけないってことだよな?
「……」
ちょっと、一旦、スキル爺に会いに行こう。
❇︎
「すみませーん!」
相変わらず、薄暗く、静かな空間で、人をもてなそうという気持ちが一切見えない。ここは店としてやっていくつもりはあるのだろうか。
まあ、人の商売事情に他人がとやかく言うことはないか。それよりも、今回は驚きの事実がある。それは、なんと、俺がお金を持ってきている、と言うことだ。
鍛冶屋でも、スキル屋でも、俺は毎回毎回、手ぶらで来ては、ツケで返してきた。そんな俺が今回、初めてお金を持って、買い物をするという、初の試みに挑戦しようとしている。
まあ、塔で狩りまくった素材が山のようにあったから、とりあえず、暗殺ギルドで適当に売っ払ったのだ。そしたら、中には珍しいモンスターでもいたのか、かなりいいお値段が付いたのだ。それで、俺はこうも自信満々にこの店に来た、ということだな。
うん、気分がいい。お金持ちが買い物をする時は、こういう気持ちなんだろうな。なんか惨めになってきたから止めよう。現実では金がないと言っているようなものだ。うん、やめておこう。
相変わらず、爺さんは奥でひっそり佇んでいる。まるで前時代のゲームのようだ。昔の時代のNPCは、単一の言葉しか喋らず、決まった行動しかしていなかったらしい。今聞くと馬鹿げたように思えるが、これは俺のおじいちゃんから聞いたから間違いない。この時代に生まれてきたお陰なんだなー。
まあ、仮に、その時代に生まれてたとしても、大して変わらない人生送ってそうだがな。彼女に振られて、ゲームに没頭してる姿が見えるな。
話が逸れすぎたな。爺さんに話しかけてみるか。もう結構長い付き合いだから、気軽に話せるってもんだよな。
「あのー、広範囲攻撃の魔法スキルが欲しいんですけど、何かいい感じのものありますかね?」
「(おー、珍しく話かけてくる者がいるかと思えば、いつぞやの冒険者では無いか。金をいつも持ってきてくれんが、その分なのか、毎回いい買い物をしてくれるからのぅ、大事な客だ。
それはそうと、此奴、今、広範囲の魔法が欲しいと言ったかの? ふむ、何処からバレたんじゃろう、つい最近、儂のコレクションに大物が追加されたと言うことを。かなりの代物じゃったから、少しも手元に置けずに、離れるのは少し悲しいぞ。
いや、待つのじゃ。そういえば、此奴は金を持ってきてないのじゃ。そして、毎度一ヶ月後に持ってくるからの。それを、金を持ってきたときに渡すということにすれば、大丈夫じゃの。うぃんうぃんという奴じゃの)
おお、広範囲の魔法か、良いものが最近手に入ったぞ。じゃが、値段が少し高くての、支払いを待ってあげる事ができなさそうなのじゃ。じゃから、お金がある日にまたきてくれんかの」
おおー! ついてるぜ、俺。つい最近入って、しかもツケが出来ない時にお金を持っているという、奇跡! 俺が余りにも悲しい死を遂げたことに対して、神様が不憫に思ってくれたのか? 取り敢えず、感謝しとこ。
それより値段が気になるな。どのくらいなんだ? これで足りなかったら、辛いなんてもんじゃないからな。
「どのくらいのお値段になるんですか?」
「五百じゃ」
五百!? あっぶねー、正直舐めてたわ。俺の手持ちが七百とかだから、割とギリギリだったな。それでも、買えるのは大きいな。これはもう、即買いだな。
「わかりました、今日はお金持ってきているので、購入させていただきます!」
「(は? 買う? ……か、買う!?)」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます