第186話 全軍突撃
藕断糸連を何度か繰り返していると、気付けば蟻達の姿は無くなっていた。これはこれで、一刀両断とはまた違った楽しさというか、気持ち良さだったな。
おっと、ここにもオクスリがあったな。回収しておこう。アリの残党に食べられて、強化されても面倒だからな。クスリはどんな理由があっても使うべきでは無いからな。
それにしても、ボスというか、女王アリは居ないのか? 早く倒してここから出たいのだが、もう何体の蟻を倒してきたと思ってるんだよ。もういい加減、しんどいぞ。なによりもう飽きた。
ここのスペースからは、通路が一本だけしか伸びておらず、それは俺にとっていいお知らせだ。こっから更に三方向に分かれていたとしたら、もう攻略を諦めているところだったぞ。
通路を進んで行くと、とうとう、玉座の間のような場所に出てきた。そう、そこには女王アリがいたのだ。もしかしたら違う可能性もあるかもしれないが、ほぼ間違いなくそうだろう。今までの蟻とは格が違うからな。
「キシャーーーー!!」
その女王蟻が叫び声をあげた。すると、どこからともなく、これまた普通の蟻とは違う、何か強そうなアリンコ達がわらわらと登場してきた。女王程ではないが、こちらも強そうだ。
しかも、それらに加えて、一般のアリもいるのだ。ここで最後の決戦と言ったところか。それならば、こちらも軍勢を手配しよう。ここは十分広いし、問題ないだろう。
「ハーゲン、スカル、ボーン、アシュラ! 全員集合!」
何故か気分が乗ったので、名前も読んでみた。雰囲気が出ていい感じだっただろう。それに、そろそろこいつらにやらせておかないと、特にハーゲンあたりが反乱を起こしてくるかもだからな。適度に発散はさせるべきだよな。
『お、やっと戦闘っすか! なんかずっと呼ばれてなかったから、今回は暴れるっすよー! ご主人様、ありがとうございますっす!』
「カタカタカター!」
ハーゲンだけでなく、ホネズもやる気が漲っているようで、なによりだ。それにしても、スカルとボーンは骨を卒業したはずなのになんでまだ、カタカタ言ってるんだ? そっちの方が慣れているからだろうか。まあ、二人のことだから気にせずいこう。
よし、なら、最終決戦の肩慣らしとして、そしてアリ軍団と戦うのも、これが恐らく最後だろう。残るは女王蟻だけだろうしな。という訳で、いきますか!
『よし、全軍突撃ーー!』
このセリフ、実は少しだけ言ってみたかったのだ。些か軍にしては少なすぎるかもしれないが、こっち量より質の少数精鋭部隊でやらせてもらってるので、苦情は一切受け付けない。おっと、こんなことを考えてたら、乗り遅れてしまうぜ、ウチの部隊は少しバトルジャンキーな部分があるからな、ほんと誰に似たんだだか。俺も、遅れたが参加するか。
「え?」
ハーゲン達がまだ出撃していない。もしかして、俺を待っててくれたのか? なんて優しい奴らなんだ。俺は本当にいい部下を持てたようだ。よし、それならば、全員でいこうか、いざ、突撃!
そう思い、前方を見ると、激怒した雰囲気の女王蟻一匹。いつの間にか、他の蟻達の姿が消えている。
「あれ?」
『ご主人様、どうしたんすか? 女王は残しておきましたから、後はやっちゃって下さいっす! それとも、俺っちがやっていいんすか? それなら、喜んでやるっすよ?』
『もしかして、取り巻き蟻達はもう、全部片付けたのか?』
『もちろんっすよ! ご主人様! 討ち漏らしは無いっすよ! 久しぶりの狩はやっぱり、最高っすね、ありがとうございますっす!』
『そ、そうか。なら、女王蟻もやっちゃってくれ』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます