第182話 アリノス


 このアクションはなかなか面白いぞ。タイミングが難しいし、落ちたら空中へ真っ逆さまだから、スリルもあってとても楽しい。最悪落ちても天駆とハーゲンがあるし、蟻達も追尾してくるだろうから、そこの心配も殆どない。だから、気楽に楽しめる、これはとてもお勧めだ。蟻を一撃で倒せる人には是非体験してもらいたい。



 これ、何体いるんだよ。流石に飽きてきたぞ。もう地面もだいぶ近づいてきたしな。これってもしかしたら、直接、蟻も巣に着いちゃうことなんてあるのか? 最初の遭遇は、そりゃ、地上だったが、わざわざ数を追加するのにそこまで行ってからするよりは、巣から直接飛んだ方が効率いいだろうしな。


「あ、着いた」


 とうとう、地面にまできてしまった。魔法で迎撃するのと、自らとんで剣で倒すのでは全然効率が変わるし、殲滅速度も極端に跳ね上がった。まあ、俺が途中楽しみ過ぎたのも、一つの要因かもしれないがな。


 そんな訳で、ありんこの巣に到着したわけだが、巣ということは、ありんこ達のホームであり、言ったら、一番戦い慣れている場所だろう。そこに単騎突入はなかなかリスキーかもしれないが、ここまできたからには、もう、根絶やしにする勢いで攻略してやるからな。


 俺がこの巣に着いてから、何匹かの蟻を倒すと、そこから急にありんこ達が湧かなくなった。恐らく中で防衛線を張っているのだろう。だが、地上と言うだけで、さっきと比べると戦いやすさが俺にとっても段違いだからな、存分に暴れさせてもらうぜ。


 まず、巣の中に入る前に、ここからは地下だ、それを抑えた上で何か出来る事はないか考えよう。どうせ無数の蟻がいて、暴れる分には事足りるだろうし、何ならさっきみたいに飽きそうだから、このへんで数を減らして置きたい。


 俺の偏見たっぷりのイメージだと、水攻めとか毒ガスとかで、巣の中を一気に倒していくっていうのがあるんだが、それらに対する、耐性はあっても攻撃手段としては持ち合わせていないんだよな。


 そう考えると、俺の攻撃手段って、大雑把な括り方すると全然なくないか? 拳で殴る、剣で斬る、爆散させる、ワンチャン即死させる、食べる、くらいか? なんかまともなのないな。そうだなー、別にいいんだが、もう一つくらい遠距離攻撃の手段は欲しいよな。


 前みたいに、物理が全く効かない奴がいて、更に、炎とかの耐性も持ち合わせていたら、もうあとは運ゲーかゴリ押しになるよな。それも、ゴーレムみたいな変な奴なら食べたくはないかなー、硬そうだし。


 まあ、今すぐどうこう出来るもんでもないから、イベントまでにはどうにかしたいな。手札は多くある事に越したことはないからな。


 ちょっと話題それ過ぎたな。まあ、結局巣に入る前に出来ることなんて、俺が思いつく限りでは無かったから、もう、ちゃっちゃと乗り込みますか! 広い所に出たら、ハーゲンや骨達にも戦わせてもいいかもな。最近俺ばっかりだった気がするし、丁度いいだろう。


 地上に出ている穴から入ると、穴はなだらかに下り坂になっていた。そして、そこにも蟻達は居なかった。まだまだ奥に控えているのだろう。ってか、あのサイズの蟻の巣となると、巣のサイズもかなりでかいんだろうな。国立競技場何個分なんだろうか。


 長く続いていた坂を下っていると、奥に開けた広場のような、ホールのような場所が見えてきた。ようやくハーゲン達を出せると思い、足早にそこに入ろうとした。パッと見た感じ、蟻達の様子はないし、大丈夫だろう。そう思って入ってみると、


「「「ガチガチガチガチ」」」


 一斉にありんこに囲まれてしまった。これは恐らく、通路からは見えない、位置、ホールの縁に沿って、待機して居たのだろう。そして、俺がノコノコそこに入っていった訳だ。まあ、出てきてくれたら倒すだけだがな。


「全員集合!」


 周りを完全に取り囲まれたこの状況で、こいつらをみると、とても頼もしく見えるな。今回ばかりは、こいつらの手もしっかり頼りにしつつ、俺も全力でいく。



 よし、アリの巣攻略、開始だ!

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