第181話 対処方法
「ふぅ」
危なかったぜ。巨大な蟻達が襲いかかってきたが、ギリギリのところでハーゲンに空中に避難させる事が出来た。蟻達は頭上の俺を見ながら、カチカチと鳴らしている。
ふふ、悔しいだろうな。あと少しで、憎き相手を仕留められたのにな。まあそういうものなのさ、弱肉強食の世界と言うものは……
「え?」
見下ろして見ていたはずの蟻達が、いつの間にか俺と同じ高さにいる。
いやいやいやいや、聞いてない、聞いてない。は? 蟻って飛べるのか? それにしても、ここまでやって来るってどんだけ怒ってんだよ。やばいやばい、追いつかれそうじゃん!
『ハーゲン、スピードを上げろっ!』
「ファイヤーエクスプロージョン」
ハーゲンの上で後ろ向きに座り、蟻に対して魔法を撃っていく。ただ、どうしても各個撃破になるから、いつまで経っても数が減らない。俺にはMPの制限もあるから尚更だ。
「うぁああ!」
急に体勢が崩れた。恐らく、ハーゲンの身に何か起こったのだろう。
『ハーゲン大丈夫か? 何があった!?』
『前から、でっかい蟻が突っ込んできたっす! ギリギリ避けれたから良かったっすけど、危なかったすね!』
まじか、前からもって、挟み撃ちじゃねえかよ。いよいよガチだな。
『ハーゲン、前から来る的はなるべく魔法で撃墜しろ! 対応しきれない時は無茶苦茶な避け方していいぞ。あと、後ろからも来てるから、なるべく直線的にならないようにしてくれ!』
『きょ、今日は注文が多いっすね! それだけ期待されてるって事っすよね? なら俺っちも頑張るっすよ!』
ふぅ、良かった。ハーゲンが言うことを聞いてくれるかどうか、でだいぶ辛さが変わって来るからな。まあ、最終的には強制的に言うことを聞かせられるんだろうけど、流石にそれはやりたくはないからな。
それにしても、数多くないか? どんどん供給されて来るぞ? だって今空中にいるのに、地面から、黒い列を成して、俺の所まで続いているからな。蟻がデカくなってるから、意識しづらいが、やはり一番の武器は数の多さなんだろうな。
絶賛、ハーゲンと俺で打ち落としているんだが、一向に数が減らない。これいつまで続くんだ? このままだと、俺の集中力が切れるか、先にハーゲンが力尽きるかになってしまうぞ。どうにかしなければ……
「あっ」
良いことを思いついた。そうだ、蟻はまるで列を成して俺らの所に向かってる、ってことは、その列を俺が使えば良いんじゃね? 別にわざわざ、迎え撃つ、という布陣を取らなくてもいいんだ。そんなこと誰も決めてないからな。
という訳で、今からミルキーウェイならぬ、ありんこウェイを通りたいと思います! 俺らに迫って来るありんこに対して、まず俺が先頭の蟻に飛び乗る。これは、巨大でがっしりした体型をしている、こいつらならではの対処方法だよな。
飛び乗って、首あたりと思われる外骨格の隙間から、剣を差し込む。すると、絶命したのか、ヒューっと落ちていく。そして、落ちていく瞬間に、天駆で次の蟻に飛び乗る。これの繰り返しだ。
先ほどまでと違って、剣で攻撃してるから、魔力の回復を待つことも無いし、追われてるのではなく、こちらから狩りにいってるから、恐怖も全くない。あと、ハーゲンが俺のことを気にせず、無茶苦茶な動きが出来るようになった。
どんなに悪い事態でも、こっちの動きを変えるだけでこんなにも変わるんだな。やっぱり、行動することが大事なんだな。
それにしても、次の蟻に飛び移る時に落ちそうで怖いが、それも楽しい。まるでアクションゲームの主人公みたいだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます