第180話 魔法


 こいつ、ただ単に物理攻撃にめっぽう強くて、魔法攻撃にめちゃくちゃ弱かったんだな。もっと早く、魔法を撃っておけば良かったな。


 なんか、見つかるまでと攻撃が通るようになるまでが長くて、そこからが早かったからか、呆気なさが半端ないな。


 まあ、そんなに時間かけてもしょうがないしな。もう、ちゃっちゃと次に行こう、この塔もなるべく早くクリアしたいからな。よし、魔法陣を探すか。


 次の階層に来た。もう何階層目かも覚えてないな。あとで思い出したらいいし、何階層目まであるかわかんないから、もういいや。


 あと、魔法陣を見つけたのは骨達だったぞ。俺は全然違う方向に向かって全力ダッシュしていたらしい。韋駄天走のおかげで行きすぎたようだ。



 そして、次の階層は、密林だ。


 密林かー。密林といえば、今の装備の素材でもあるホワイトツヴァイタイガー、双頭虎と戦った場所だな。あの虎も当時の俺からするとかなり強かったからな。今の俺からしたら、余裕なのかな? まあ、流石にここでは会わないだろうな。


 それにしても、ここの密林は前回の密林とも少し違うな。前はアマゾンの奥地の様なイメージだが、今回は東南アジア系のジャングルっていう感じだな。まあ、正直適当だし、行った事も勿論ないから、ただのイメージでしかないけどな。


 一つ言えるのは、こっちの方が虫が多く出そうって感じだな。虫に対してはそんなに苦手ではないが、抵抗が全くないわけではない。普通に黒いアイツとか出てこられたら、どうしようもなく、ただ遠くからスプレーをするだけだ。こればっかりは俺が小さい頃から何も変わってないな。


 科学の進歩もいいけど、もっと身近なところまで降りてきてほしいよな。


 そんな事を考えていたからだろうか。俺が歩み始めて、ぼけっとしていたら、急に背後から蝶々が襲ってきた。


「うわぁ!」


 Fの次の文字の想像を丁度していたから、無駄に大きく反応してしまったじゃないか。それにしても、でかい蝶だな。


 って、あれ? これって蛾か? そもそも蛾と蝶の違いってなんだ? 何が違うんだ? 一緒でいいだろ。一般人で違いが分かる人っているのか?


「ファイヤーエクスプロージョン」


 虫には炎が効くって、昔から相場が決まってるからな。ほぼ条件反射的に爆殺してしまった。


 それにしても、木々が生い茂っていて、上手く気配感知が機能していないな。先程みたく急に来られてもびっくりするから、何か対策しておきたいんだが。


「うぉっ!」


 今度は足元に蟻が群がっていた。それもかなりデカめのサイズで、そのせいで、一個一個が詳細まで良く見えてしまう。


「ナパームボム」


 こういう時は広範囲殲滅系の魔法は便利だな。ファイヤーエクスプロージョンやギロチンカッターだと、日が暮れちゃうからな。


 ガチガチガチガチ


 おいおいおいおい、もしかして今のお前らの子供だったりする? 大人になってその大きさなら、赤ちゃんであの大きさなのは頷けるわ、うん。


 振り返ると、そこには俺の腰くらいまである、超巨大な蟻達が俺の視界を埋め尽くしていた。


「ハーーゲーーーン!!」

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