　俺の乾坤一擲を食らってもなお、平然としているその様を見て、俺は驚愕した。今まで沢山のモンスター、それもかなりの強敵と戦ってきたが、俺の攻撃を食らっても全然ピンピンしているモンスターは、初めて見た。

　今までの敵は、一撃で死ぬことはなくても、かなりのダメージをくらっていた。それなのに、このキモいのはダメージを食らった様子もない。もしかしてコイツ、凄いモンスターなのか？

　それにしては、ただ、ゲロのような球体の吐瀉物を俺に向かって吐いてくるだけとは、なんかしょぼいよな。もっと強そうな攻撃をしてきていいだろうし、それだけって拍子抜けだよな。

　よし、もう一度剣で攻撃してみよう。今度は久しぶりに蓮撃を使うか。最初はコイツをずっと乱用していたからなー、懐かしいな。そう考えると、俺も結構変わってきたんだな。

「ふぅ」

　俺の十八番、前は俊足だったが、今となっては韋駄天走。進化した蓮撃、とくと味わえ！

　まずは、一瞬の間で距離を詰める。そして、相手から認識される前にそこから移動する。移動しながら、斬りつけていく。

　手、足、頭、すべてをフル回転させながら斬っていく。久しぶりの感覚で懐かしさも覚えつつ、この忙しさが心地いい。

ーーースキル【藕断糸連】を獲得しました。

【藕断糸連】‥スキル発動後、一呼吸の間に行った、全ての連続攻撃を一つの攻撃として、相手に与える。その間の被ダメージは全てゼロになる。

　スキルをゲットした。俺の好きな連続攻撃が普通に実用にも使えるスキルに昇華したって感じだな。今までの蓮撃も引き続きあるから、活躍してもらうけどな。

　これで一件落着かと思われたんだが、振り替えると、まさかの光景がそこにはあった。そう、アイツがまだそこにいたのだ。

　よくよく考えてみると、乾坤一擲でも死ななかったのだ。それなのに、蓮撃で死んでくれると言うのは些か、都合のよい考えただったな。

　それにしても、何故倒れない？　流石にここまでして、ダメージ的に足りないと言うことはないだろう？　かなり食らわせたぞ？　それでも、ピンピンしてるってことは、何か仕掛けがあるのか？

「【看破】！」

　うん、そんな気はしていたが、何も特には起きなかった。しかし、ダメ元でしてみたのは事実だが、これでは、手詰まりになってしまうぞ。どうすればいいのか？

　アイツはまだ、気持ち悪くて、臭い球体の吐瀉物を吐き出してきて、時折、踏みつけや、噛みつき、体を使って、ボディプレスもしてくる。ひたすらにウザいな。

　どうしようか。このままだとイライラしすぎて、イライラ耐性、無効がゲット出来そうなくらいだ。もう、ここいらで終わらせたい。今の時間は、強くなれてもないし塔の攻略も進めてないからな。止まっているのは苦手なんだよな。

　もう、こうなったらヤケクソだ。俺の持っている攻撃手段をありったけ使ってやる。

「ファイヤーエクスプロージョン」

　とりあえず、魔法攻撃だな。そう言ってなんの期待も無しにぶっ放したんだが、

「えっ？」

　そこには見るも無残に爆散した、キモ魚ガエルがいた。

　こいつ、死んでもキモいじゃねぇかよ……

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