第174話 喪失感とデジャブ
【無限の闘争心】‥総戦闘時間が増加すればするほど、各ステータスに補正。
ふう、やっぱり強敵だったよなあ。あの風格、威厳、態度、どれをとっても、王に相応しいものだったし、何よりカッコ良かったよな。俺もらしくないカッコつけ方をしてしまった。まあ、男って皆んな多少なりともかっこいいのが好きだろ? その度合いが違うだけだろ。
よし、これで俺も前に進めたのだろうか? 新たな強さを獲得出来たのだろうか。俺もいつかミノタウロスの様に強くなれるのだろうか?
少し、ミノタウロスに感化されてしまった。俺ももっと強くなりたい。ちょっとここでまた、死んでおこうか。これから先、これ以上の敵が待ち受けているんだろうし、準備はしすぎるってことはないだろうからな。
それに今回は、リアルの技術の必要性も感じたが、逆説的にスキル、称号の重要性も再認識する形となった。リアルスキルを鍛えたからこそ、俺がスキルと称号のおかげで今までがあったんだ。そして、俺の強みはそれなんだなって思った。だから、リアルスキルもだが、スキル、称号も今まで以上に重きを置いていきたい。
そんな訳で、今回はシンプルに剣で死のうと思う。物理攻撃無効を貫通して、剣で死ぬ。それに加えて、ミノタウロスが残していった、遺品である。王の槍を使って、刺突による死でもいいかもしれないな。
刺突と言えば、一番最初の死に方だ。原点回帰と言ったところか。あの頃の俺とは、確実に変わっているんだろうな。考え方や、心の在り方、何もかも変わってる気がする。そうならば、このゲームは俺の人生を変えたゲームになるのだろうか。
「うっ……」
やはり、久々に剣で死ぬとなかなかくるな。剣で腹を抉ると、内臓が悲鳴を上げるというか、いろんな箇所が同時に痛いのだ。剣が切った部分、刺さっている部分、別々に痛いのだ。それに並列思考で二倍痛い。全くお得じゃないよな。
槍は、剣とはまた違った痛みだな。刺さる事に特化している分、体に刺さる時はそれほどでもないが、刺さった後、そして、貫通した後が痛い。これで、槍を引き抜いたりしたら相当痛いのだろう。返って、シンプルだけど、なかなかえげつない武器だよな。
気づくとそこは広場だった。そして再び戻ると、そこは草原だったが、いつも居たはずの存在がいない。敵であった筈のモンスターだが、これはこれで一抹の寂しさを覚えるというものだろう。
それでも、俺は死に続ける。死んで死んで、そして、いつかキングミノタウロスに会った時は、圧倒的な力量さで、屈服させ、俺の配下に加えてやりたい。
それにしても俺も随分痛みに慣れてきた気がするな。痛みや苦しみそのものに慣れてきているのだろう。人としていいかどうかは、また別問題だが。
ーーースキル【欠損耐性】
スキル【聖槍】を獲得しました。
ーーー称号《解剖者》
称号《磔刑者》を獲得しました。
【欠損耐性】‥ 欠損状態になりにくくなる。また、欠損状態からの回復が早くなる。
【聖槍】‥邪悪な存在に対して、特別な効果を発揮する槍を生み出す。
《解剖者》‥人、人型のモンスターを一定数切り開く。人及び人型モンスターの弱点が分かり、素材が多く貰える。
《磔刑者》‥槍によって何度も人を殺す。スキル【聖槍】を取得。槍によるダメージ増加。
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