第163話 余裕と謎


 俺たちが三階層に着くと、そこは、岩場だった。よし、あいつらも呼ぶか。


「全員集合!」


『あれ? もう、湿地をクリアしてしまったんすか? 湿地はやっぱり居心地がいいっすからねー。今度からも、ちょくちょく連れてって欲しいっす!』


 あれ、そんなに無理矢理次に行ったことに対して嫌な感情は持ってないらしいな。まあ、主人に対してそんな感情持たないか。


 あ、そういえば、将軍達の強化をするって言ってたよな。今のうちにしとくか。一階層のあの木の素材を使おう。


「【強制進化】」


「従魔:ウッディスケルトンジェネラル、個体名:スカル、ボーンがツリージェネラルに進化しました」


 よし、完成だな。まあ、これと言っちゃなんだが、こいつらは良くも悪くも、堅実な進化を重ねていくよな。周りの二人がぶっ飛んでいる中、良く正常でいてくれてると思うぞ。


 それにしても、いつの間にかウッディスケルトンからツリーになってるな。木目調骨から、木への大躍進か。これでホネズとは一括りには出来なくなったな。まあ、するだろうけども。


 そんなことを考えながら、骨から卒業した二人を眺めていると、急に俺の危険察知が反応した。それも、真後ろからだ。慌てて振り向いて、防御か回避かどっちかをしようとしたんだが、


 その敵はゴーレムだった。


 もう、正に俺をその巨大な腕で叩き潰さんとするところだった。俺は、まず状況を確認しながら、従魔を仕舞っていった。状況を確認すると、もうすでに周りを複数体のゴーレムに囲まれているようだった。恐らく、岩に擬態したまま接近され、ゴーレムになるまで危険察知が反応しなかったのだろう。


 そういった状況分析をしながら、俺は殴られた。


「ってー!」


 ダメージは入らなくても、痛みはあるのかよ。それなら、余裕かましてないでしっかりと避ければ良かったな。まあ、痛みは入るってことを知れたから良しとするか。


 それにしても……多いな。色んなサイズのゴーレムが十体以上いるぞ。もしかしてここにある岩って全部ゴーレムなんじゃないかって程だ。


 先程証明されたように、俺にはゴーレムの攻撃が効かない。だが、この数は些か敵が多すぎる。だから、従魔を出そうと思う。元々この階はその予定だったしな。あいつらも戦いたいだろう。


 よし、全員集合させたから、ここはこいつらに任せて、俺は……何しようかな。とりあえず戦闘が終わったら、俺の所に戻って来させるとして、俺は、そうだな、ボスと少しイチャついてくるか。


 いかにもな大きさの岩を見つけた。まるで自分がここのボスですよ、と言わんばかりの、貫禄で、王座に座るかの如くそこに鎮座している。


 よし、少し遊んでみるか。


 大きな巨体、あれ? これって頭痛が痛いになってる? まあ、今は関係ないか。その巨体に軽めの蹴りをお見舞いしてみる。


 すると、お休み中だったのか、蹴られた数秒後、怒り狂ったかのようにゴーレム姿に変形していき、その感情のまま、俺に対して腕を振り下ろしてきた。


 まあ、今回はゴーレムだし、しかも遊びだから、防御する必要はないと判断して、舐めプをしようと余裕をかまして突っ立っていたら、


「ってーーー!!」


 まさかのダメージが入っていた……だがまあ、俺はどんな攻撃でも基本的にHP1は残るからな。


 ……って、あれ? なんで俺は今、広場にいるんだ?

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